俺にとっては可憐な花

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「……なぁ」 「~~っ、わかったよ」 多分、奏は話を聞いて欲しいのだ。紺はそう思った。はぁっと息を吐いてベッドにいる奏に目を遣ると、奏はにこっと微笑む。 「……っ」 その微笑みに紺の心が鷲掴みにされた感覚に陥る。 奏の笑みはまるで可憐に咲き誇る花のようだった。 シングルベッドに男子高校生二人、入るもんかと思っていたが、案外しっくりと収まった。というのも、奏が小柄だからだ。紺が体を落ち着けると奏は紺の方へと体を向けた。 「聞きたいこと……あるんじゃねぇの?」 「……そりゃまぁ、色々。けど、聞いていいのか」 「あぁ。ていうか、聞かれたから答えるんじゃねぇ。俺が話したいから話すだけ……」 そして、ぽつり、ぽつりと、奏は話始めた。 奏が市内にある赤坂総合病院の三男坊であり、その中でも自分だけが不出来で、父親に嫌われていること。父にも母にも奏の容姿が似ておらず、それが原因で夫婦間の争いが絶えず、母親が蒸発してしまったこと。信東学園に入り森岡に気に入られ、何となくRの仲間入りをしてしまったこと。そして……。 「だけど、俺はRを抜けたい……」 「何で」 「……俺の役目は森岡さんに抱かれること。だけど……俺はもうそういうの嫌で……だから」 「は……!?」 思わず紺は上体を起こした。 「お前それ、マジな話なのか!?」 「本当の話。だからそれが嫌で、この間あんたにケンカ売ったんだ。俺にも抱かれる以外の事が出来るって森岡さんに知らせたかった……」 「……」 「それに家に帰ってもどうせ俺は嫌われてるから……。居場所のない俺に手を差し伸べてくれたのは森岡さんで……でも体がしんどくて……。何もかもが思い通りにいかないし、どうせ俺なんか死んでも誰も悲しまないしって、そう思ったらあの公園にいた奴らにケンカ売ってた」
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