俺にとっては可憐な花

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「んぁ?……どうせくっだらねぇケンカか何かだろ。巻き込まれんの面倒くせーから帰ろうぜ」 紺はさも嫌そうに眉間にぐぐっとシワを寄せた。 「えーでも何か声が……。まさか子供がリンチされてんじゃないよね?」 「……。三織はここで待ってろ」 「うん」 男達の罵声を浴びせかけるような声が聞こえる中に、時折高い声が混じる。三織はそれが気になったようだった。 紺は足早に声の出所へと向かった。余計な面倒事はごめんだと言わんばかりに、様子を探って、余程のヤバい場面でなければ見なかったことにしようという魂胆だった。 遊具のある公園の表部分には誰もいなかった。 (トイレ側か?) 紺の読みは当たっていた。 小柄な女子供ともとれるような少年が、男達に押さえ込まれている。よく見ると見たことのある顔だ。 (……あいつ!) 奏だった。弱いくせに強気で紺にケンカを売ってきたアイツ。男達に押さえ込まれ、制服を脱がされているのがわかった。 それを見た紺は、かあっと頭に血が上り、気付けばその男達に殴りかかっていた。 「お、らあああっ!てめーら何やってんだあっっ!」 奏の上に馬乗りになっている一人を目掛けて飛び膝蹴りをお見舞いする。吹っ飛ばされた男の腹の上に紺が着地し、そのまま踵で男の頭を勢い良く踏みつけた。 「あがっ……っ!」 男は脳震盪を起こしたのかその場で動かなくなった。紺はゆらりと立ち上がり、残りの二人へと敵意を剥き出しにする。 「ひっ……!そ、そいつから絡んできたんだ……」 「うるせー。やんのかやんねーのか!ああっっ!?」 紺の気迫とケンカ慣れした身のこなしに、不利と判断したのか、男達は仲間を置き去りにして逃げて行った。
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