俺にとっては可憐な花

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男達の後ろ姿を見送り、すぐに奏へ視線を移す。 「おい、お前大丈夫か!?」 「……何で」 奏は脱がされかけた制服を直すこともなくゆっくりと、体のどこかを痛めたのか、動かし辛そうにして起き上がる。 紺は身に付けていたパーカーを脱いで奏の背中に掛けてやった。 「……何で助けた」 奏が小さな声で何か言っている。紺は聞き取れなくて聞き返す。 「え?何?」 奏はハッキリと高い声を上げて言った。 「何で助けたんだよ!!俺は、俺は……犯されて死んだって良かったんだ!!くそっ……!」 「……は?」 何がどうして奏をここまで追い詰めたのか、紺には全く検討がつかなかった。けれど死に対する奏の気持ちが軽いということだけは理解出来て頭にカッと血が上る。ふざけるなと口を開こうとした矢先、紺の横を三織が横切り奏の頬をパンッと叩いた。 叩いてすぐに三織は驚く奏の体をぎゅっと抱き締める。 「死んで良い人間なんていない」 「……っ」 そう言われた奏は、これまで自分を保ってきた糸がプツリと切れたかのように、三織の胸に掴まり、わああぁっと子供のように声を上げて泣き出した。 その後奏が家に帰りたくないというので、紺の家に連れていくことにした。三織は積もる話もあるだろうからと、自分の家へ帰って行った。 「大丈夫か?今風呂沸かすから、その辺座って待ってろ」 「……家の人……は?」 「ああ。親父は出張で来週までいねーし、おふくろは看護師やってて夜勤だからってもう出てった」 「看護師……さん?」 「ん?あぁ」 「……」 奏が看護師という言葉を聞いて体を緊張させる。 「どうかしたか?さてはお前医者嫌いなんだろ?お子さまだな~」 言いながらも紺は奏の変化に気付いていた。奏が何に怯えているのか知りたい。そしてその不安を取り除きたいとも思っていた。
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