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最初に私を抱き寄せてくれた場所で、
あなたは最後に私を抱き寄せてくれた。
あれは、どれくらい前の事?
初めて感じたあなたの温もり。
重ねた体越しに、重なる2つの心臓の音。
息がかかりそうなほど、近くで・・。
今も息がかかりそうなほど近いのに、心は遠く離れてしまった。
明日の貴方には、もう手は届かない。
あなたは、行ってしまう。
もつれた糸をほどくように、心の糸をほどいて
あの日に帰れたのなら、何だってしよう。
でも、私は何もしなかった。
いつもあなたが決めて、私はついて行くだけ。
なぜ自分から、アクションを起こさなかったの?
なぜもっと、語り合わなかったの?
まるで川の流れの様に二人の心はもつれ、濁り、時に絡まり、
そして離れ、貴方は行ってしまう。
まるで水面に描く波紋の様に、人の心は移ろいやすい。
1つとして、同じものはない。その波紋は私の心。
揺れて輝いて、そして儚く消えてゆく。
1つとして同じものはなく、些細な事で大きく変わってしまう。
ねぇ、貴方。抱き寄せてくれたあなた。
最後に抱き寄せた温もりは本物?
何もかもが、涙でにじんでいく。
幻を抱くように私は必死で、最後の雫を拾う様に
貴方の温もりを抱きしめる。
明日は、もういないあなたを。
最初に抱きしめてくれたのは、いつ?
もう記憶もあいまいで、私の心の様に靄をかけて薄れてしまった。
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