第1章 転落の道

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第1章 転落の道

この物語は本当の恐怖が体験できる貴重なお話、恐怖とホラーの違いについてどの位理解ある人間がいるだろうか。 この物語は街談巷説(がいだんこうせつ)怪奇伝集(かいきでんしゅう)道聴塗説(どうちょうとせつ)怪異譚(かいいたん)どれにも該当しない。 恐怖とは様々で電柱の影が化け物に見える錯覚から魑魅魍魎の類に宇宙人までこれは人間の知識の無さからくるもので更に物理的に拷問を受け痛みによる恐怖もあり結局は’死’を意識しての恐怖だ。 そして’死’とは百発百中で迎えるエンディングでありどんな富豪や大スター達にも逃れられない。 そんな恐怖と戦う為に人類は宗教と言うものを作り出した勝手都合の良く、存在するかも分からない神という存在、その神が世間では乱立している。 まだリアリティーのある人間の科学力を遥かに凌駕する異星人を崇拝した方が現実的だ。 そしてこの物語の主人公みたいな人物が大勢蔓延(おおぜいはびこ)っている現状を理解して頂きたい。 時代は西暦2000年代に遡る。 桃の節句を過ぎ、今年の春は例年になく穏やかだ桜の開花が待ち望まれ時おり冬寒も感じさせる。 通常の人間なら春の香りそよ風に吹かれれば見も心も生き生きしてくる様になりぽかぽか陽気についうたた寝に誘われてしまう季節でもある。 そんな季節感など微塵にも感じない男がいた。 赤坂登である。 出身は神奈川県横浜市の20歳で高卒現在は一人暮らしでパチプロのと言う職業とは言えない職業で収入を得て生計を立てている。 強面で身長186センチ笑顔を浮かべるだけでそれが不適な笑みに変わる。 月収は50万円程だ。 パチプロと言うと堕落して努力もせずにお金を稼ぐイメージが強いがそうではない独自の解析力と忍耐力や行動力が必要で難易度の高いゲームを攻略する以上に難しいゲームに挑戦して完全に攻略するイメージだ。 現在の赤坂の朝は遅い12時を過ぎた昼頃から動き出す。 赤坂「ふぁあーーーあ」 唯一人間らしい(あくび)をする赤坂だが逆にどんな悪党予備軍でも人間らしさは兼ね備えている。 生い立ちから説明すると母子家庭で育った彼は幼稚園児時代は友達の数が0人で小学生に入ってからもそれは変わらなかった。 しかし小学生時代に一人でギターを始め、のめり込んでいった、バンドを組むという発想は無く飽く迄も個人手でギター教室に通いつめ個人で好きなアーティストの曲をコピーしたりと時代は空前のバンドブームの時代、様々なアテーティストがミリオンセラーを連発しまた一人の少年が音楽に手を出すのには必然的な時代だった。 同時に高校野球の甲子園の影響からか少年野球を小学3年生から始め6年生で身長が165センチと身長が高く、体が大きいだけで試合に出場すると言う古い指導者の考えの蔓延する中でも成長しチームのエースピッチャーとなり何時しか自分は野球の才能があるのではと思い始める様になった。 順調に問題も起こさず中学に入学し、ギターは独学で練習する様になり残りの時間は野球部という部活に力を注いだ。 中学一年生で身長は175センチと大きく1年生から試合用ユニフォームを着て肩の良さからピッチャーをする様になった。 性格は幼少期から寡黙と相変わらず人付き合いは皆無で最低限のコミュニケーションを上辺だけとるスタンスでいた、中学3年生の頃はエースで地区大会で優勝するなど自分はプロ野球選手になるんじゃないかと思う様になっていた。 その発想が甘かったのだ本来プロ野球選手を目指すならリトルリーグからシニアリーグとステップアップし硬式ボールに慣れ全日本選手権にて優勝若しくは上位にランクインする位でないと強豪高校からお誘いが来ない、実際赤坂は中学3年生で130キロ近い球速を軟式ボールで投げていたがそれは町内でNO1位のレベルだ。 しかし赤坂は高校は野球で匆々(そこそこ)強い高校、県予選でベスト8に確実に入ってくる様な強豪高校に入学した、赤坂は神奈川県の高校球児だ、神奈川県の高校野球は激戦中の激戦区であり神奈川を制する者は全国を制すると同義と良く言われている。 赤坂の入学した高校でも甲子園に出場しても恥ずかしい成績を残さないで済む位の学校で選手層も厚く赤坂は初めて壁にぶつかった。 今迄エスカレーター式に進学し少年野球もエース中学もエースだった赤坂はピッチャー首を宣言された、赤坂は高校3年生で186センチで身長が止まり全力で投げても130キロ台、壁である140キロを越える速球を投げるには骨格や生まれ持っての才能が必須とされ赤坂にはそれがなかっただけだ、しかしバッティングセンスを買われて8番ライトで70名近い部員の中からレギュラーを勝ち取る事が出来たが赤坂のプライドはズタズタだった、赤坂は高校での厳しい練習以外にも自主的に練習し体を鍛えあげた、そして高校3年生の夏の甲子園予選ではベスト4まで行くという快挙を得た、試合でホームランも打った、しかしその程度ではドラフト候補として上がる事はない。 そして高校を卒業する頃悲劇が起こる、一緒に暮らしている母親が亡くなってしまったのだ。 賃貸で住んでいるマンションを出て行き母が残してくれたわずかなお金で赤坂は18歳から一人暮らしを始める。 仕事を転々としていたが人の命令に従う事に抵抗があり自分一人で稼げるような仕事を探した、若しくは仕事と言える事でなくてもいい、其処に時代は空前のパチスロブーム、赤坂はこれに乗っかる事にして雑誌やインターネットを駆使して兎に角収入を得る事に必死だった、人生で初めて友人と言える存在にも出会えて収入も安定するようになった、其処から現在に至る。 今日も赤坂はスケジュール表をチェックしインターネットで新規開店、新装開店情報を検索する。 店の新規開店とは実際に店が初めて新規オープンする事で勝率が高確率で大多数の人間が数万円を手にして帰る事になる。 新規オープンは開店時間は夕方6時でその行列は朝の8時から前日の夜迄といった熱狂的なファンが多い、次に新装開店だ、現在ある店舗を新装し開店する訳だがこれも開店時間が夕方6時と弊店までの23時までの5時間しかないその5時間でどれだけ少ない投資で出玉を出すかが勝負所だ。 そして赤坂は予定通り日程は先だが新装開店の情報を入手し本日は近隣のホールを徘徊する。 新装開店は新規オープンに比べると勝率は落ちるが夕方18時からの営業は変らずで大勢の人が押し寄せる。 現在の赤坂は不正行為を行ってはいない通称’ハイエナ’と言う行為で他人が多額を使った後の台に座り低資金で出す事や昼過ぎ頃から行く事で既に稼動してある台の当たり回数を記録し当たり回数の最も多い台に座るといった所だ。 なぜ大当たり回数が多い台に座るかと言うとパチスロ台に限って設定1~6まで店側が設定出来、当然高い6に近い設定に座る事が勝利の秘訣だ。当たっている回数が多ければ当然設定は良いと言うシンプルな発想だ。 しかし高設定でも低設定でも所詮機械なので当然’事故’も存在する。 高設定でありながら何千回転回しても当たらない事もあり低設定なのに万枚オーバー等も稀にある。 万枚オーバーとは等価交換なら20万円以上の換金が約束されている。 赤坂は当たり回数が多い800回転は当たりがない台に座り1000円札を入れるすると50枚のメダルが出てきて1回転3枚BETで台を回す。 プレイ中はリプレイや子役が揃いメダルが増えたりで1000で平均すると28回転程回せる事になる、時間としては10分かからない程度。 そして赤坂は3000円投資してAT《アシストタイム》に入る。 スロットとはビッグボーナスフラグに当選し、7を揃えて特定の枚数を得るシンプルなAタイプという台もあれば今現在赤坂が座っているビッグボーナス意外にアシストタイム《AT》と言われれるモードに入り指定された絵柄を順番通り狙って打てば15枚の子役が揃いメダルが徐々に増えていくシステムだ当然AT中もレバーを押す毎にビックボーナスやレギュラーボーナスの抽選を行っている為ボーナスを引く可能性がある。 ビックボーナスは約380枚位レギュラーボーナスは約120枚程だ。 ただAT機はスロットを打った事のない初心者は回転している絵柄が見えない、いわゆる’目押し’が出来ない人間は絵柄が揃わず損をしてしまう技術介入要素がある上級者向けの台だ。 そういった初心者の人間もパチスロをやりたいらしくパチスロを打つが目押しが出来ないので現在は違法だが店員や近くにいる客にボーナスを揃えて貰ったりし、お礼に缶コーヒーの一本でも渡すのがマナーだ。 スロットにはこうした技術介入要素がありその情報をネットなどで拾ったりパチンコ雑誌で読んで実行するのだ。 赤坂はAT中にボーナスを引き380枚のメダルを取得する更にATは続きメダルを減らさず所か増やしながら只管(ひたすら)打った、時間にして午後1時半から夜の9時半まで此処で赤坂は打つのを辞めた、一番の辞め時はメダル枚数がこれ以上増える事の無い事が判明した時である。 台は爆裂状態が終わっても’引き戻し’で通常状態に戻ってからもまた爆裂モードに入る可能性がある、その可能性を摘み取り赤坂は他人が自分の台に座ってださせない様徹底して引き際を見極める。 これが出来ずに折角出したメダルを全部使い結果負けてしまう人間も多いが赤坂はプロだ。 赤坂にとってのスロットは楽しむものではなく仕事の一環で収入源である。 出した枚数は5150枚で最初に3000円投資したから10万円の収入だこれに満足した赤坂は帰宅しコンビニ弁当を買いTVを見てネットをして眠くなったら寝て眠くなくなるまで寝ると翌日の12時になってしまうがその翌日は何時もと状況が異なった。 何と朝5時に起床し横浜駅へと向かう。 相鉄線の改札前を通り5番街を通り過ぎる。 そして駅から10分ほど行くと数名の人間が既に並んでいる。 新装開店だ。 この店は赤坂が普段から馴染みのある店で儲けさせて貰っている店の一つで新装開店の勝利への期待度も可也高い。 着いた時間は朝の7時半これから約11時間も待たなければならない、当時はスマホがまだなく人々はガラケーを使用していた時代。 この時代に空前のパチンコブームが来ていたのもスマホの存在がなかった事が大きく影響している。 人々は刺激的名娯楽を求めていた。 それが余暇産業のトップを走り続けるパチスロ業界だ。 ガラケーは折り畳み式の携帯電話が流行し4和音で着信メロディを自作したりメール機能も追加されたばかり、このメール機能は非常に便利な機能で世間から注目を浴びる事となる。 赤坂は折り畳み椅子を用意し其処に座り本を読む、時間を潰す事に関して苦痛でないのはある一種の才能だ。 そんな暖かい春の陽気の中眠くもなって来そうな物だが新装前の猛者達はどの人間も目がギラギラしている。 人間大人になろうが’子供’という時期を経験している以上、ドキドキ感やワクワク感は捨てる事が出来ないのだそれが結果として目をギラつかせる事となる。 そして夕方6時の開店時間が迫る。 赤坂は戦闘態勢に入るこれは遊びではない戦だ。 そんな時ブオーとほら貝の音が聞こえてくる合戦前の合図だ。 時は戦国1564年-------------------------- 川中島の戦い第五次合戦 足軽隊隊長「信玄殿、此処が天王山!上杉軍に正面からの攻撃は最早通用しません」 武田信玄「戦力を分散させ階段2段とばしで目的地へ移動せよ」 足軽「成る程、階段を2段とばして下りていくんですね」 武田信玄「そうじゃ階段2段とばしの技とくと思い知るが良い」 武田信玄「疾きこと風の如く徐かなること林の如く侵掠すること火の如く動かざること山の如し」 武田信玄「風林火山じゃー」 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 開店と共に猛ダッシュ目的の台は地下に存在するため階段を2段とばしで降りていく。 そして開店し赤坂はお目当ての台に座る。 ファーストミッションコンプリート。 皆が猛烈に人がダッシュするのでのんびり台を選んでいる時間が無いせめて狙った機種に座れただけでも幸運だ。 赤坂はスロットはやるがパチンコは一切しない、経験は一度位で1000円使った位だ、やらない理由は儲からない、パチンコはスロットの様に設定はなく違いといえば釘位だろう1000円で20回転も回らない台もあれば1000円で25回転する台もある。 パチンコは玉を出しチャッカーに入れる事により初めてボーナスの抽選が行われる(しか)してスロットはメダルを3枚入れて回せば必ずボーナスの抽選に入るこの違いがスロットとパチスロの違いだ。 そして赤坂が座った台は純粋のAタイプという台で単純にビッグボーナスかレギュラーボーナスを揃え380枚か120枚かを引きまくりメダルを増やす台だ。 そして1万円を使った頃から初めてビッグボーナスを引くこれが50回転以内に五連チャン位して短い営業時間の中で1500枚を手にした。 1500枚だと3万円だが1万円使用しているので2万円が収入だ時給にしたら約1800円ほどの一日だった。 しかし赤坂は座った台が裏モノである事を疑った、50ゲーム内のボーナス5連荘は通常では中々ない1ゲーム連荘も普通にしている。 裏モノとは猛烈にメダルを吸い上げ何千回転も当たりが来ないと思ったら短い期間で急に連チャンしだす危険な台だ。 そして赤坂は頭が良いから理解していたこんな生活が何時までも続く筈はないと。 そして数ヶ月が経過する 赤坂は相いも変わらずパチスロ生活を続けていた。 しかし以前の様に10万円稼ぐ事が珍しい事になり、勝っても1万円か2万円が御の字の時代がやってきたのだ。 警察が出し過ぎるパチスロ台に警告をならし法を改正し出玉が出ないような台しか台の検定が通らない様にしたのだ。 今までが普通だったのではなくおかしかったのだ。 こうして多くのパチプロ達が去り多くのパチンコ店が潰れ生き残ったパチンコ屋も人が少なく店側も客が来ないから高設定を入れてお客の出す事が出来ず出ないから店に行かない等の悪循環に陥ってしまう。 赤坂はそんな中収入は激減したもののパチプロ生活を続けていた。 其処にホールで現在のパチスロ仲間の渋谷に会う。 赤坂の人生の超重要人物とのファーストコンタクトだ。 ある日赤坂がホールでスロットAタイプの台を打っていた所隣で渋谷が打っており赤坂がラスト3クレジットで当たりを引き、追加投資に千円札を入れようとすると赤の他人である渋谷がメダルを3枚入れてくれた。 そしてその日は二人は一日中出っぱなしでパチスロ談義に大いに花を咲かせたのであった。 そんな日からお互いに店舗の情報交換をするようになりお互いの連絡先も交換した。 渋谷は年齢が同じだが腰が低く、可愛い後輩や弟の様な赤坂が今迄近くに居た人間とは全く異なる人種の刺激を受け徐々に親しい間柄になっていた。 渋谷「やぁ赤坂最近は勝っているかい?僕は単独で稼ぐのには限界が来ていると思ってるよ」 赤坂「状況は良くないな抑抑(そもそも)規制で台の出玉が減っている、前みたいに大きく勝てなくなったまぁ大きく負けないようにもなってるんだろうが勝つ事を大前提とした俺からすればクソ台許(ばか)りだな」 渋谷「そんな君に丁度良いアイテムをどうかと思ってね持って来たよ?」 赤坂「アイテム?それを使えば勝てるのか?」 渋谷「良いもん手に入れたんだマンタンクだ10万円で買わないかい?」 赤坂「それは確かに良い物だなしかし値段が高い高いな8万にしてくれそれゴト行為だろ危険性も加味した値段にしてくれよ」 渋谷「仕方ないなーじゃあ8万円で良いよ!!足のつかない様にしてよパクられたらホールで拾ったと言うんだ」 赤坂「俺はパチプロだぜ違法だろうがパクられる様なヘマはしないさ」 ゴトとは不正に出玉をゲットする犯罪行為だ、そして赤坂が購入したマンタンクはメダルに針金がついており店でこれをメダル投入口に挿入する事で台が大量のメダルが投入されたと認識し50クレジットをゲット畢竟(つまり)永遠に1000円分が只で遊べるのだ。 赤坂はこれをフル活用しあっと言う間に購入資金の8万円は稼いだそして数ヶ月が経つ。 何時もと同じ様にゴト器具を挿入すると検知エラー発生音が鳴り響くこれは不正な電波や行為が行われた際に表示される画面だ。 赤坂「くっ不味い検知エラーだ監視カメラで遡ってチェックされる可能性がある此処は逃げないと」 赤坂は兎に角店から逃げた。 打っている映像は録画されているから二度とあの店には行けないだろう。 こうしたカメラで撮影された動画は写真になり系列店に情報が出回るのだ。 指名手配の犯人の様に逮捕される訳ではなく来店した場合お断りされる程度の事なんだが。 それでも赤坂はその検知器がついてない店を探しエラーが発生しては逃げるを繰り返し漸く検知器のついてない店を見つけるも数ヶ月で店が対策し数ヶ月で出入り禁止状態となる。 そんな時渋谷がやって来た。 渋谷「赤坂前に君に売ったマンタンクの調子はどうだい?稼げるだろう」 赤坂「まぁ元は取ったが今は店側がほぼ対策しているから使用はもう無理だ」 渋谷「なら、君もチーム組んでゴト行為やらないかい?日当で1万円は出してくれるらしいよ」 赤坂「具体的にどんな事やるんだ?パクラレ屋みたいな仕事は御免だぜ」 パクラレ屋とは相手の代わりに不正で逮捕され報酬を貰う商売の事だ、起訴されても大概は罰金刑で済む。 渋谷「君は初心者だから店のサクラから裏ロム設置の見張り役や壁役等初歩的な事からだね」 赤坂「1日で1万円確実に貰えるのか、今のスロットより良いなぁ良いだろうやってやるさ」 渋谷「じゃあリーダーの所へ連れて行ってあげようカフェで待ち合わせしてるんだ」 其処は何処にでもあるフランチャイズのシアトル系カフェ. 新庄「よう渋谷!!何だ新しい奴連れて来たのか?」 赤坂「赤坂っす宜しくお願いします」 新庄「お前はこの世界では見ない顔だなカタギか?」 赤坂「ええ、一応合法的な手段をメインにして収入を得ています渋谷から売って貰ったマンタンクは使いましたがね」 新庄「前科持ちか?手先は器用な方か?」 赤坂「今の所前科はついてないっすよ手先は器用な方ですね」 この新庄と言う男は巷を騒がしている要は半グレ集団の一員で暴力団の中でも末端で警察もその実態を探るのが難しいとされている、表向きは普通の一般人である。 新庄「じゃあお前!明日この店の此処に書いてある台に座って朝から晩まで打って来い」 赤坂「わっ分かりましたこれってサクラって奴ですかねぇ?」 新庄「そうだサクラだただ打つだけで良いんだから楽な仕事だろ、初心者向けの仕事なんだ、安全性もある、只押し順間違えたり意図的に出ない様な打ち方はするなよ、出す事が目的何だ」 赤坂は初めてのサクラ体験に血湧き肉躍る状態だった。 赤坂「本当にあるんだなサクラ何て要は店側もグルって訳かこの店は何度か行った事あるが裏でヤクザと繋がっていた何て」 翌日赤坂は開店の九時前からその店に並び指定された台を打つこれは最高設定6何かじゃあない台の挙動が明らかに可笑しい65000分の一の確率の演出がポコポコ出る裏ロム仕込んでいるレベルの尋常じゃない出玉だと赤坂は思った。 この頃の台は昼過ぎても出っぱなしの状態が閉店まで続くと万枚オーバーする。 赤坂がお金に換金すると20万円を貰えた。 そんな大金を持ち新庄と連絡を取り会う事になる。 新庄「よう赤坂売り上げをよこせよ」 赤坂は惜しみながらも20万円を渡した。 新庄「これが報酬だ」 赤坂から8千円渡される。 赤坂「あの一万円って聞いたんですけど!それに出すのに三千円の費用が掛かっていますこれじゃ実際日当5千円になっちゃうんですけど?」 新庄「文句言うんじゃねーお前は新人なんだよチクったらお前もパクられるからな 爾来(それより)次の仕事があるんだ渋谷達と三人で裏ロムの仕込だ」 そして渋谷と山崎と言う男がやって来た。 赤坂はこの山崎と言う男を知っていた、界隈のパチンコ店でよく見るごく普通の顔だ真逆(まさか)ゴト師だったなんて夢にも思っていなかった。 渋谷「山さんはこの道のプロでねただ流石に単独で裏ロムの仕込みは厳しい俺は店員の注意を引き付けるから君は山さんの死角になってくれ要は壁役だよ」 赤坂「要はデータを見る振りして手を伸ばしたりして作業をカメラや店員に見せない様にするだけでいいんだろ?」 渋谷「ああ、そうさ簡単で初心者向けって感じだろ」 そして3人で店に向かい山崎が台の選別をしている実行可能かそうでないかを判別しているのだろう。 遂に山崎が台に座り筐体の一部から何かを入れてる様にも見えるがそんなの気にせず店員の死角に入りその行為を目立たせない様にした。 そして仕事は僅か3分で終了した、渋谷は店員に話しかけて注意を逸らしてくれていた。 赤坂はプロの仕事を見て興奮した鮮やかな手つきとその速度に圧倒されたのだ正に手先が器用でないと出来ない仕事だ。 逆にこうも考えたこれだけ器用で労力を使うなら(もっと)他のカタギの仕事探せば幾らでも見つかるだろうとも思える。 仕事を終えた三人は新庄の元へ向かう。 山崎が台番号が書いた紙を渡す。 新庄「ご苦労、報酬だ」 赤坂はまたもや8千円を渡されるも其処で不満を言う。 赤坂「八千円じゃ割りにあわないっすよ一万円て約束でしょ?俺はパクられる危険性も秘めているんですよ?」 新庄「良いか!!お前はまだこの世界じゃ新人何だよ俺の言うとおり動いてればパクられる事もなく収入を得られるんだ今度言ったらぶっ飛ばすからな!」 渋谷「次の仕事だよ今日言った裏ロム付けた台で終日打って来てくれ設定は6の爆裂台になっている筈だから」 新庄は赤坂を怒らせた’ぶっ飛ばすからな’と言う台詞これが逆鱗にふれ赤坂はアイスピックを購入した。 赤坂は今迄の人生で相手に攻撃的な態度をとられた事がなかったので我慢すると言う事を知らない、その雰囲気は周囲の人間は察知しており赤坂には余り人が近付かなかった。 今迄キレた事はなかったが新庄の言動に腹を立てる位の程度じゃすまない勢いの感情が赤坂に生まれ今後の脅威となる。 赤坂が無事に高校迄卒業出来たのも野球はやっていたが必要最低限に赤坂が他人と関わる事がなかったからである。 翌日裏ロムを仕込んだ店に行き台に座る投資金額2千円で大当たりを出しその後もメダルは増え続け万枚オーバーした。 裏ロムの力は凄い、店が設定6にしたって出来ない様な事を間単にやってのける、赤坂はこの技術を自分のものにしたいと思う様になった。 そしてまた20万円を持って新庄に会いに行く。 新庄「よくやった報酬の八千円だ」 赤坂「だからそれじゃ少ないって言ったよな?割りにあわねーんだよ、俺は危険に身を晒してんだよテメーみてーに何もしねーで安全な所に隠れてんのとは訳が違うんだよ」 新庄「おいテメーは記憶力は無いのか?俺も言ったよなもう一度言ったらぶっ飛ばすってな!」 赤坂「やってみろよ全部チクッててめーは豚箱行きだ、首謀者は実際お前なんだからな」 新庄「テメー許さねーぞ俺を誰だと思ってんだ一度痛い目見さしてやるよ」 これに激怒した新庄は赤坂の頬を殴りつける。 何度も何度も赤坂はサンドバッグ状態でただ殴られるだけだった。 「ゴツン」 「ボコッ」 「ドゴッ」 最終的に赤坂はふっとばされるも立ち上がり所持していたアイスピックで新庄の腹を滅多刺しそして倒れた新庄の顔も殴る蹴る。 赤坂「オラオラ殺してやんよ、テメっこの野郎がっ!」 「ザクッ」 「ドゴッ」 「ボゴッ」 新庄「い..痛い助けてくれ殺さないでくれ、俺が悪かったから」 赤坂「お前みてーのは生きてる価値がねーんだよ殺してやるよ」 新庄「やめてくれお願いだ助けてくれーーーー!!」 新庄は赤坂のキチガイさに気付き本当に殺されると思い叫んだ。 赤坂の表情は凶器に満ちているというより笑顔だった、丸でパチスロで大儲けした時の様に暴力を振るっている時の赤坂はアドレナリンが分泌している。 周囲にギャラリーが集まってくる。 サラリーマン「一寸(ちょっと)君もう止めた方が良いよ死んじゃうってその人」 赤坂「うるせーなぁー外野は黙ってろや此奴(こいつ)殺した後は次お前だからな」 サラリーマン「ヒッヒィーー」 注意したサラリーマンも赤坂の恐怖に怯え逃げ去っていく始末。 これが30分以上も続いた通行人が通報し為警察が出動。 「ウーーーーーーーーーウーーーーーーーーーーーーーーー」 サイレンの音が鳴り響き周囲は騒然とした雰囲気に包まれる。 中には写メを撮っている人間もいた。 赤坂はパトカーから降りて来た警官二人に取り押さえられるも抵抗はせず。 両脇に警察官がつきパトカーの後ろに乗せられる、興奮状態は治まったのか今迄散々暴れていた人間とは思えないほど無抵抗で警察に暴言すら吐かなかった。 現場の血にまみれた凄惨な状態を見ている警察官は拍子抜けしただろう。 赤坂は凶器を所持していた為その場で殺人未遂の現行犯逮捕。 警察署に連行され取調べを受けながら刑事施設で勾留される事となった。 赤坂は何処かすっきりとして喉に引っかかった物が取れたかの様な穏やかな精神状態だった。 犯行の動機や背景など全て正しく供述し新庄は怪我の回復を待ってから裁判が始まったのだ。 そして裁判になるも相手がゴトの首謀者であり自身を手足の様に使われた事が原因であり更に凶器は使用したが急所を狙わなかった事が決定的となり罪状は傷害事件となった。 赤坂が全て供述したので新庄も後に逮捕される事となった、赤坂的には自業自得ざまぁねぇといった所だ。 判決は5年間の刑務所生活だった、自由奔放に生活していた赤坂にとっては辛い判決だが仕方ない凶器を使用し相手の内臓はズタズタだったのは事実。 赤坂に下った実刑判決の元刑務所生活が始まる最初は初犯という事もあり個人での独房生活だったが慣れるにつれ雑居部屋へ移される。 刑務所の生活は厳しいだから人は悪い事はせず、もししてしまったらそれを誤魔化し更に犯行に手を染める悪循環が出来上がる。 雑居部屋に移された赤坂が最初に目にした者は。 その部屋には4人の犯罪者が居た。 性犯罪者で逮捕された井上。 傷害事件で逮捕されたヤクザの安井。 恐喝と傷害で逮捕されたヤクザ村井。 詐欺罪、横領罪で逮捕された国村。 赤坂はこれから共同生活をする先輩住人達に礼儀正しく挨拶をした。 赤坂「赤坂登と申します、傷害事件で5年間入る事となりましたどうぞ宜しくお願い致します」 井上「よ、宜しくお願いします」 安井「宜しくな兄ちゃん」 村井「宜しくなぼーず」 国村「此方こそ宜しくお願い致します」 井上だけ怯えた様に挨拶してきたのが気になった。 村井「おい兄ちゃん此処での挨拶だ、井上をボコれ」 赤坂は躊躇したが井上の顔がどうにも気に入らなかったのでボコる事にした。 赤坂「おい、おっさんてめーなんか気にさわる顔してんじゃねーか何の罪で入ったんだ」 井上「ごっ強姦罪です」 井上は緊張して笑顔を作ると不適な笑みに変わり、その表情が周囲の人間をイラつかせるのだ。 赤坂「あっそ!まーいーやお前の顔は気に入らないから毎日サンドバッグにさせて貰うわ」 「ドゴッ」 「バキッ」 「ズザッ」 赤坂は顔から腹までボコボコに殴る。 井上「ぐふっ」 赤坂「今日は面倒臭いからこん位にしたやるよまた明日可愛がってやるからな」 村井「やるじゃねーか兄ちゃんいや赤坂」 そして儀式は終了した。 最初は1つの部屋にヤクザが二人も存在する事に驚いたが赤坂はまだ20歳と若く同じ部屋の人間からは可愛がられた。 しかし性犯罪者の井上には冷たく近くに刑務官がいないときは殴る蹴るの暴行も行われていた。 当然怪我もするがそんな怪我は刑務官は見て見ぬ振りだ。 刑務所内部では性犯罪者と児童虐待をした人間は必ず苛めにあう、なので罪状を誤魔化す人間も多いが一連の事件を根掘り葉掘り聞いてくる人間が刑務所内には必ずいる、というか退屈な刑務所で唯一の楽しみは苛めだからだ、なので罪を誤魔化し話に辻褄(つじつま)があわない人間は徹底的に調べられ疑惑の念をかけられた人間は周囲から裁判記録を見せろと言われる。 この裁判記録は比較的容易に手に入る為これを見せろと要求されたら嘘をついた事が発覚し、過酷な苛めを受ける生活が服役中永遠と続くのだ。 刑務所での生活は朝6時半に起きて7時には朝食7時半には配属先の工場で軽作業を行う。 楽しみと言えば3度の食事と夕方17時30分からの自由時間だテレビを見たり本を読んだりラジオが流れたりと世間との繋がりが唯一持てる場所だなと赤坂は感じた。 そして周囲に気に入られている赤坂は天狗になり性犯罪者や児童虐待者に対して徹底的に暴力を振るった、自身は別に性犯罪者だろうが強盗だろうが関係ない暴力を合法的に刑務所内で振るえるからだ、赤坂の脳内は暴力と快楽が同義となっていた、この異常性が周囲に気に入られる理由にもなった しかし可愛がられている赤坂を良く思わない人間もいる。 当然だ、若いのに良い気になって暴力を振るいまくっていれば嫌われる要因にもなるからだ。 その人物とは別の部屋の乾って奴で赤坂自身が嫌われている事を感じており擦れ違いで蹴りを入れてきたり食事の時間わざと前に座り自分の食事をひっくり返されたり等揉め事が絶えない。 揉め事というより一方的にやられている、相手は取り巻きが複数いて何時も単独行動の赤坂には勝ち目がない。 赤坂は村井に相談した。 赤坂「殺っちゃっていいですかね?乾って奴何かと俺にからんでくるんすよ、取り巻きが多いので一人の時を狙って襲えば大丈夫っすよね?両目を潰してやろうと思ってるんっすよ」 村井「それは懲罰だけじゃ済まないぞ罪が加算されて出所するタイミングが遅くなるだけだぞ止めておけ」 そして翌日事件はおきた乾とすれ違った際に蹴りを入れられたのだこれにキレた赤坂は乾を殴り人差し指と中指で乾の目を潰した。 「ザクッ」 その人差し指と中指で確実に乾の眼球を潰した感触はあった、ただボコボコにするだけならガタイの良い赤坂には簡単な事だが(もっと)酷い目にあわせてやりたいと赤坂の中にはあった、それが視覚を奪うという行為だ。 赤坂「乾よーお前は一生何も見る事が出来ないそれが俺にしてきた事に対する罰だ永遠に暗闇の中彷徨うが良い」 速攻で刑務官が飛んできた、赤坂は抵抗せず両手をあげる、赤坂の狡賢い体質は自分より立場の上の人間には決して反抗しないポリシーを持っている、警察官や刑務官がそれに該当する。 そして単独室に入れられる、良く懲罰房と言うのを聞くが実際はそんな場所存在しない。 赤坂は一人になれてホッとしていたが懲罰執行中は誰とも会話出来ず風呂も週に一回程度と扱いが酷い、それに漫画では食事や睡眠が減らされるが実際はそんな事はないと皆が言うが本当に食事は減らされ睡眠時間も減らされ過酷な生活を送っている。 本来なら罪を反省する為の部屋だが赤坂の自分勝手な性格は罪は反省しない、自業自得なんて言葉も存在しない全部他人の所為(せい)にする、今回だって乾が自分に絡んでくるような真似さえしなければおこらなかった事件だ。 そんな時間も半年を過ぎ元の部屋へ戻れる事となった、今回失明させた乾の裁判などもあり忙しくなる。  
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