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「あんた、そんなことを企んでいるの?いつのまにか人が変わったのね。そんなことを考える男だとは思わなかった。でも、人生、一度は、そういう機会も必要なものだわ。私も人生を変えたい。一度の機会で人生が変われるものなら是非そうしたいわ」
「おい、当日は、とびっきり洒落た豪華なドレスを着て来い。むろん貸衣装屋から借りるんだ。その恰好でダンスを踊るんだ。その胸の肌を悩ましく露出出来るようなドレスを選べ。社長は無口で寂しそうに見えるが、たぶん、むっつりスケベと思われる。惚れられてもウィンクなどするな。むしろ、それらしい素振りをして焦らすんだ。出来るだけ俺たち夫婦に焼き餅を焼くように仕向けるんだ。これから何度も招待を受けるようにお前の馨しい肌の残り香を社長の男の部分に強く擦り付けろ。どこまでも熱く滾らせるんだ。プールに飛び込むときは、着ている物を出来るだけ大胆に大袈裟に脱ぎ捨てるんだ。いかにも無邪気に嬉しそうにしてな。俺もプールに飛び込むときは大袈裟に野獣のようにお前を襲う振りをするからな。じゃ、今から予行練習でもしようか」
「ちょっと待ってよ。私、そんなことするの初めてだわ。要は、私が可愛い小悪魔人形の演技をすれば良いのね。純だけど、どこか浮気っぽさがある女の演技ということなのね。社長様には奥様がいらっしゃるのでしょう。私に出来るかしら?」
「社長には妻はいない。三年前に亡くなっている。いいか、出来ると信じろ。むしろ、素人臭さい方が好いんだ。あの古強者の社長にはそれが新鮮で強烈な印象を与えるんだ。これからは人前では俺のことを"あんた"でも"旦那様"でもなく、"あなた"と言うんだ。俺は会社では自分のことを社長の前では"私"と言っているが、職場では"僕"と言っている。社長の別荘では"僕"で通すから途惑わないように。いいな」
「ええ、あなた、承知致しましたわ。なんか、私たち食わせ者みたい。たぶん、そうなのかも…」…
「今、なにか余計なことを言わなかったか?これからはお淑やかにしするんだ、いいな…。それでは予行演習をしようか。ポイントは社長とダンスを踊るときの仕草だ。社長がお前の身体のあらぬところを触ったとしょう。そのときお前は社長にどう言うつもりだ?」
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