好計の夫婦

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「お前は生ける人形だとしても、社長の別荘が、たとえそれが絢爛たるシェーンブルン宮殿のような黄金宮殿とでまではいかないとしても、その夢のような豪華な大広間で繰り広げられるダンスのシーンで堂々と華麗に輝くお前という人形は、さながら貴婦人人形のように見えるだろうよ。お前のドレスの胸元から迫り出す滑なめらかにして艶深い繻子のごとき絹肌が、黄金色に輝くシャンゼリアの下で乱舞するときを俺は夢見て止まない。そして、招待者の皆が寝静まるまで、お前は社長と付き合うんだ。別に社長と肉体関係を持てと言うのではない。お前の肌を少しだけ触らせる程度のことで間稼ぎをする。目立たぬようにな。時間が経ち、他の招待客が眠りに入った頃を見計らい、踊り疲れた身を冷やすためだと言って、お前は素裸になって夜の海を望む洒落たプールに飛び込むんだ。はっきり言おう、水着など不要だ。俺は野獣のようにお前の後に続いて飛び込む。そして、俺とお前は水面に浮かび抱き合い熱いキッスをする。その有様を見た社長は、俺たち二人に嫉妬し我慢できずにプールの中に入って来るやもしれん。その先には何が待っているか、想像するだけでもワクワクする。お前が俺のことをどう思っているか知らないが、俺はこんな貧弱なアパートに辛抱して住むような男ではないからな。そのうち俺は他の招待者を出し抜いて社長の側近、いや黒幕になってやるんだ。今回の招待は、その目的のための序章に過ぎんのだ」
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