あとがき

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あとがき

 この小説では、雪春の気持ちと蒼太の気持ちを読者様は分かっているというポジションで書きました。きっと、読んでいて歯がゆかったり、じれったく感じたかもしれません。しかし、最後まで読んでくださった皆様は、きっとそんな二人を生温かい気持ちで見ていてくれたのかなと思います。本当に、最後までお付き合いしていただき、ありがとうございます。  ここからは、セルリアンブルーを書き終わって思ったことを少し書こうと思います。良かったら読んでください。  この小説を書く上で、一番難しかったところは、やはり動きのある部分を書くところでした。今、何が起こっているのかを明白に伝えながら、自然と映像が流れ出るように……。緊迫感や疾走感を伝えるのが難しかったです。  それと、やはりリアリティを出すのが難しかったです。私も中学生時代、陸上部に所属していましたが、すっかり忘れてしまって、ネットで情報を探しながらの執筆になりました。実際、現場に行って事実確認をしていないので、もしかしたら、リアリティに欠けていた部分があったかもしれません。そこは、本当に自分の力不足だと思っています。  この物語で大事にしていたものは、高校に入って間もない、十五、六歳のまだ未熟で未完成な少年を書くところです。雪春の父親との対立もそうです。そこまで嫌うの? と思うくらい大袈裟に書きました。蒼太の同性愛に対しての葛藤もです。そこは極めてデリケートな部分だったので、心理描写を細かく入れました。  あとは、亘のキャラクターについてです。書き始めは、見た目も中身も完璧な美男子の予定だったのですが……。次第に、見た目は完璧だけど、中身が悪辣(あくらつ)狡猾(こうかつ)な人間に変わっていました。徐々に、悪質度合いもエスカレートしていき、自分で書いていて、「こいつ!」ってなりました。でも、今はそれで良かったと思っています。やはり、小説には悪役は必要だと思うんです。それも、そうとうな……。長編を書くと、どうしてもだらけてしまいがちですが、こういうスパイス的なものを入れ込むと、案外ストーリーの強弱というか、流れが良くなる気がするんです。亘スパイスがいい味を出していたら幸いです。  雪春の父親との関係、亘との関係はまだ決着はついておらず、修復もされていません。しかし、すべてが上手く収まり、落ち着くなんてことこの世にはありません。「小説だから、いいじゃない」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、私はあえて決着させませんでした。  なんだか、言い訳が多いあとがきになってしまいました。すみません。  セルリアンブルーを最後まで読んでくださり誠にありがとうございました。皆様の温かいコメントや読んでくださるひとりひとりの読者様のおかげで、ここまで頑張ってこれました。そして、毎日更新を終えて感じたことは、やはり達成感が強かったです。これからも、日々勉強をして、読みやすく、そして面白い物語を書いていけるように精進していきます。新作はまだ決まっていませんが、セルリアンブルーの修正をしながら近いうちつぶやきでお知らせが出来たらいいなと思っていますので、もし、よろしかったらフォローもお願いいたします。それでは、また次回作でお会いしましょう。 三夜ゆり
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