風流

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「風流、だ」 「なに? ふうりゅうって」  不思議そうに訊ねる息子に説明する。 「上品で美しいってことさ」 「ふーん」  息子はしきりにうなずき、 「パパ、ホタルってふうりゅうだね!」  と笑った。    ***  帰る車の中でも、息子は興奮しっぱなしだった。いや、正直に言うと、私もかな。息子と今見たホタルについてあれやこれや話しながら運転していると、混雑した道も気にならなかった。  家へ戻り、私はPCの電源を入れる。すると緑色の電源ランプが灯る。 「同じ緑の光だけどな」  私はつぶやく。ホタルの数が年々減っている、という話を思い出す。  こうして、ホタルの光はいつしかデジタルの光へと変わっていってしまうのか。ホタルたちの光は世界から消えていってしまうのだろうか。  ため息をついて、マウスを手に取る。  ふと隣を見ると、日記帳へ楽しそうにホタルの絵を描き込んでいる息子が目に入った。今日の思い出を、忘れないうちに記録しようというのだろう。私は少し考えて、モニタに向き直る。 「風流、か……」  親子そろって、単純な性格だな。  苦笑しながら、いつの間にか私は検索画面で「ホタルを守る会」と打ち込んでいた。    了
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