プロローグ

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「実は、失恋したばっかりで」  間宮が打ち明けるように言った。  展示会が終わって、その日は間宮と一緒に帰った。  それで、金曜日という事で、どこかで飲んで行こうという流れになった。  間宮に連れて来られたのは銀座にあるカジュアルな洋風居酒屋だった。  店内は間宮とそう年齢が変わらない大学生ぐらいの若い子たちでにぎわってる。 「失恋?」  聞き返すと、間宮はくりっとした大きな目を悲しそうに伏せた。 「大学の頃から付き合ってた人なんです。就職してからはお互いに忙しくてすれ違いになってて、それで久しぶりに彼の家に行ったら、様子がおかしくて」 「どんな風に様子がおかしかったの?」 「ぶっちゃけるとエッチしてたんです」  ぶっとビールを吹き出しそうになった。  可愛い見た目と合わない率直な言い方に冷や冷やする。 「ちょうど、その現場に居合わせちゃって」  間宮が思い出すように遠くを見る。 「彼の上に女が乗ってて、激しく腰振ってたんですよ。それで喘ぎ声なんて出しちゃって」  アルコールのせいではなく、頬が熱くなる。  昔からその手の話は苦手だ。 「私、凍り付いちゃって。ただ、ただ彼と女がエッチして、絶頂に達する所まで見てるだけでした」 「すごい現場に居合わせたね」  私だったら逃げ出してる。
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