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雨の中をゆっくり1時間かけて帰り美歩は幸運を噛みしめた。ちょっとヤバくない? とんとん拍子すぎない? こんなにスムーズだとなんか起こる気がする。なんか嫌なこと。でももっと知り合うには一緒に働くのが一番じゃんか。それ以上ないじゃんか。滅多にないチャンスをしっかりつかんでよくやったと思うよ? でも浮かれるのはみっともない、と家では笑顔をセーブした。 「おかえり」 キッチンで夕飯をつくっていた母親は美歩を見ると、 「どうした」と聞く。 「何が?」 「いいことあった? 鼻歌うたって」 「鼻歌?」美歩は無意識だった。歌っていたのに気づかなかった。「バイト決まった」 「どんな」 「江の島。ご飯食べるとこ」 「へぇ」 「あさってから行く」と切り上げて2階の自室に上がった。    *** 11月9日に電子書籍を発売しました。作者の自己紹介にあるHP、または「あらすじ」の下部から購入サイトにお進みいただけます。ぜひ。
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