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雨の中をゆっくり1時間かけて帰り美歩は幸運を噛みしめた。ちょっとヤバくない? とんとん拍子すぎない? こんなにスムーズだとなんか起こる気がする。なんか嫌なこと。でももっと知り合うには一緒に働くのが一番じゃんか。それ以上ないじゃんか。滅多にないチャンスをしっかりつかんでよくやったと思うよ?
でも浮かれるのはみっともない、と家では笑顔をセーブした。
「おかえり」
キッチンで夕飯をつくっていた母親は美歩を見ると、
「どうした」と聞く。
「何が?」
「いいことあった? 鼻歌うたって」
「鼻歌?」美歩は無意識だった。歌っていたのに気づかなかった。「バイト決まった」
「どんな」
「江の島。ご飯食べるとこ」
「へぇ」
「あさってから行く」と切り上げて2階の自室に上がった。
***
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