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「はい、いただきます」と言ったものの美歩は手をつけない。 「どした? 食欲ない?」 「いえ」 目を伏せている美歩の顔を覗き、勇翔は「お腹こわした?」と聞く。「トイレ長かったのウンコ?」 「違います!」と美歩が驚いて言うと、 「なに、アイドルだからウンコしない?」と笑う。 美歩は真顔のまま「失敗ばかりで、すみません」と頭を下げた。「足ひっぱって」 「そお? だいぶ楽できたと思うけどばあちゃん」と勇翔。「見舞いも行けたし」 「私なんか役に立てるか」 「生まれて初めてなんでしょバイト」 「ですけど」 「初日にしては忙しすぎだったね。悪いことした」 「いいえ」 「もっと楽な日からスタートすればよかった」 「そんなことありません」 「ま、客入りはなかなか読めないし。そのうち慣れるよ。だいじょうぶ」 勇翔は自信ありげにうなずく。美歩は自信なく首をひねる。 「これからもっと忙しくなるし、失敗は今のうちどんどんしとくといいよ。食べて」と勇翔は料理を見る。 「はい」と美歩はうなずき「いただきます」と箸を取った。    *** 11月9日に電子書籍を発売しました。作者の自己紹介にあるHP、または「あらすじ」の下部から購入サイトにお進みいただけます。ぜひ。
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