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撮影は20分で終わりお笑いコンビとスタッフは勇翔と美歩に礼を言って店を出た。 「あっと言う間だったね」と勇翔は出入口で見送り、 「はい」と美歩は横でうなずく。 「だいじょうぶ? 顔まっ赤だよ」と勇翔は美歩の顔を覗き、 「あ、あ、これは」と美歩はさらに赤くなって、 「興奮してる?」と勇翔は微笑し店に入る。 「そ、そりゃテレビだし、緊張して」 和代はいつの間にか厨房に戻っていて「お疲れさま。ありがとう」と美歩をねぎらう。 「もう1日のチカラ使い果たしたような」と美歩がこぼすと、 「ハハハ」と勇翔は大笑いする。「いやこれからだし」 「フフフ」と和代も笑い、「ヘヘヘ」と美歩も笑い、なんとか空気は戻ったものの美歩はドキドキがとまらない。赤面で好意が気づかれたか、と思う。まだ早い、と思っていた。アルバイトを始めてまだ1週間なのに。仕事も満足にできないのに。 しかしその後はなるべく勇翔と絡まず、勇翔もいつも通りで美歩はほっとした。ほっとしたのに少し残念な気もして、帰り道ではモヤモヤした。    *** 11月9日に電子書籍を発売しました。作者の自己紹介にあるHP、または「あらすじ」の下部から購入サイトにお進みいただけます。ぜひ。
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