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自宅に持ち帰ったDVDの録画を美歩の両親は何度も見て、 「何回目?」と美歩が風呂あがりに聞くと、 「5回目」と母親が言う。 「まだまだ」と父親はリモコンで戻す。 「好きねぇ」と美歩は呆れて2階に上がった。    *** 放送のせいで美歩のアルバイト先は大学の友人たちに知れ、 「なんで定食屋? 地味じゃない?」と聞かれたが、 「でも時給いいよ。慣れたら千百円」と美歩は答えた。想定した問答だった。 「それよりなんで黙ってたの」と聞いたのは棚橋彩で、彼女は以前から鋭いところがあったが、 「続くか自信なかったし、どうかなって」 美歩が再び用意していた答えを言うと、 「ふーん」と納得してうなずいた。「続きそう?」 「まぁ、なんとか」 「今度食べ行くよ」と他の友人たちは深く聞かず「4人で海行った帰り」 「えー、遊びのついでかい」と美歩がツッコむと「ハハハ」と笑いになる。 他にも知らない男子学生から「テレビ出てたよね」と声をかけられたり「写真撮らせて」と言われたりして、美歩は驚きながら「自分の知らないところで世界はどんどん変わるんだな」と思った。    *** 11月9日に電子書籍を発売しました。作者の自己紹介にあるHP、または「あらすじ」の下部から購入サイトにお進みいただけます。ぜひ。
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