第3章 帰国

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 ――――日本には、ほぼ定時に到着したが、入国審査が以前よりかなり厳しくなっている。警察官も多く、麻薬犬がうろうろと私の周りに来て匂いを嗅いでいる。 (おいおい、冗談でもワンとか言うなよな) 別に悪いことはしていないがドキドキするものだ。  順調に入国できたが、バスの発車まではまだ時間がある。時間潰しに空港内の本屋へ立ち寄った。ふと、中国語会話の本が目につき、なんとなく購入したが自分自身でもなぜ買ったのか不思議だった。 (シュウリンの為か?)  外国語会話上達の一番の原動力は異性と前に聞いたことがある。 別にそんなつもりは無い・・・いや、あるのかも知れない。  移動中のバスの中で、買った本を読んでいたが、いつの間にか眠ってしまった。 本当に疲れた。 ――――1ヵ月後  この1か月間、空港で購入した中国語会話の本を結構読んでいる。インターネットで中国語会話の勉強が無料でできるホームページを探し、発音などの勉強もした。  いくつかの挨拶など少しの単語ぐらいは言えるようになった。 (通じるかどうかは別だが)  明日からは、また中国に出張だ。今から心が躍っている。 はっきり言って、シュウリンの顔はあまり憶えていない。  酔っていたというのもあるし、暗いところだったからはっきりとは思い出せないのだ。 (向こうも憶えてないだろうな。よし、今度は写真を撮ろう) 彼女ともっと話がしたい。そんな思いが込み上げてきた。
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