第1章 出会い

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「東条さん、そろそろ行きましょう」 しばらくすると駐在員の安西が私に声を掛けてきた。  安西は私よりも後輩だが、年齢はひとつ上の40才だ。32才の時に中国に単身赴任し頑張っている。かく言う私は未だに独身貴族を謳歌している(のだろうか・・・)。  今夜は、顧客と食事会だ。日本人街と呼ばれる、現地では最も賑やかな繁華街へ向かうのだが、現地のタクシーの荒い運転には何回乗っても慣れることはない。  タクシーに乗り20分ほどすると、窓から一際ネオンの明かりが賑やかな通りが見えてきた。顧客と待ち合わせしている日本人街の入り口付近で下車し、顧客を待った。 8ab4a361-e752-4222-898e-b81b8cf19bbc  日本人街は、ここから見る限り500メートルはあるだろうか。通り沿いには居酒屋、蕎麦屋、ラーメン屋、ビデオショップ、スナックなどかなりの店数がずらりと並んでいる。  あちらこちらから日本語が聞こえてくる。中国で働いている日本人がそれだけ多いのだろう。  しばらくすると顧客が到着し、安西を紹介した後、日本料理店へ向かった。  最近では中国でも本格的な日本料理店は珍しくない。仕事の話もそっちのけでゴルフや家族などの話に盛り上がった。
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