第11章 プロジェクト

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 ―――中国到着後、直ぐに顧客の仮事務所に向かった。中心街にある大きなビルのワンフロアだ。工場が建設されるまではここが客先の拠点となる。  顧客に挨拶を行い、今回の出張内容の大まかなスケジュールについて打ち合わせを行った。現地視察や現地業者の選定など、やらなければいけないことは盛り沢山だ。  夜は顧客との食事会で関係者が集まった。以前に食事会した時と同じメンバーなので和気藹々と話が弾んだ。2次会はいつもどおりクラブへ行くのだがシュウリンのいるクラブではなく、違う所だった。彼女に早く会いたいという気持ちを抑えながら1日が過ぎた。  翌日、私と渡辺は朝から工場の建設予定地を視察した。かなり広い敷地だ。 事務所に戻り、施工業者の選定や機材の調達方法など、細部にわたってプロジェクトメンバーを含む中国人スタッフとの打ち合わせを行った。  特に渡辺は工程表の作成に頭を悩ましているようだ。 忙しい時は時間が経つのも早い。あっという間に夜が来た。中国では基本的に残業は無い。 毎日、夜中までやらなければ片付かないぐらいの仕事量だが、諦めて帰ることにした。  いつもの日本料理店に渡辺と一緒に行き、定食を頼んだ。料理を待つ間も、プロジェクトの懸念事項について打ち合わせを行った。  寮に帰ってからも仕事をするつもりだったが、彼女にも会いたい。少しの時間でもクラブに顔を出すことにした。
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