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「さあ、折角なのでカラオケでも行きましょう」
安西はそう言うと日本料理店での会計を済ませ、本番はこれからと言わんばかりに先頭をきって店の外へ出て行った。
歩きはじめて直ぐ近くのクラブに入り、店員とも親しげに話しながら個室へと案内する。10名以上が軽く入れるほど大きな部屋であり、カラオケ、大きな液晶テレビが備えられていた。
しばらくすると、ぞろぞろと女性が部屋に入ってきて、並び始めた。
(え、なに、なに?)
私は何が始まるのか全く分からなかった。
「選んでください。皆、日本語大丈夫です」
安西の隣に座っている小姐(カラオケ嬢)が言った。
(なるほど、そういうシステムか)
当然、顧客から選んでいく。
皆同じ感覚なんだなと思うほど、私がいいなと思った小姐が選ばれていく。
私は、4番目に選ぶ順番になり、右から3番目の小姐を指名した。
選ばれた小姐は、ちょこんと私の隣に座った。かわいいというよりも綺麗といった感じでスタイルも悪くない。灯りが暗かったせいもあったかも知れないが、中の上ぐらいには思えた。
「名前は?」
「&%$#¥」
名前を聞いても中国語の発音が聞き取れない。
「え、解らない」
彼女は、小さいメモに自分の名前を書き始めた。
「これ、シュウリン」
丁寧にピンイン(日本語のフリガナのようなもの)まで書いてくれた。
「シュウリンか」
「違う、シュウリン」
私の発音が悪いのか何回も名前を言わされた。
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