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彼女は相変わらず、「かっこいいねー、やさしいねー」を連発している。
4人で結構楽しく飲んでいたが、明日は朝5時起きで空港まで行かなければいけない。上海の渋滞はひどいので、それを見越してかなり余裕を見ての出発だ。
「シュウリン、明日、日本に帰る。明日の朝早いからもう帰るよ」
「もう来ないの?」
「うーん、次は1ヵ月後かな」
「うん、わかた。来たときに電話して」
(うまいねー)
(そういえば、名刺どこにやったっけ?)
「名刺無くしたかもしれない。もう一回頂戴」
「うん、持てくる」
そう言って彼女は、席を立った。
しばらくして、
「――――はい、これ」
「名刺一杯いるね」
「ううん、そんなにいらないよ」
「でも、お客さんに毎日渡してれば結構いるんじゃない?」
「名刺、誰にでも渡さないよ。良いと思た人だけ」
(どういう意味だろう。俺は良い人と思われてるのだろうか?それともカモなのか?それとも得意の営業トークか?)
(ま、どっちでもいいけどね)
「じゃ、岡本、お前らはゆっくりしていけ」
そう言って岡本に800元(日本円で1万円ほど)を渡して店を出た。
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