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――――そう言えば、一人でタクシーに乗るのは初めてだな。
(上手く通じるだろうか・・・)
そう思っていると、彼女が追いかけてきた。
私が中国語を話せないからタクシーに行き先を伝えてくれるらしい。
週末ということもあり、既に客が乗っているタクシーばかりでなかなか捕まらない。
その時、彼女が私の手をそっと握ってきた。(指を絡めるいわゆる恋人つなぎというやつだ)
一瞬、(え?)と思いながらそっと握り返した。タクシーがつかまるまでの、ほんの数秒間の出来事だった。
彼女は中国語でなにやら運転手と話している。寮の場所を説明してくれているのだろう。
「運転手に寮の場所言ってあるから大丈夫。じゃあ、1ヵ月後ね」
彼女は笑顔で言った。
「ありがとう。再見」
私は覚えたばかりの中国語を交えそう言うと、タクシーに乗り込んだ。
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