那須野が原の冬の空

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 だから、今年は思い切って一人で参加してみた。  去年参加していたメンバーで今年も参加しているという生徒もいたし、花凛のように一人で参加したという生徒もいる。  事前説明会や昼に行われたオリエンテーションではぎこちなかった雰囲気も、この星空の下では一掃された。  星座早見盤を片手に星座を探すことに夢中になり、これまでは話したことがなかった者同士が一緒になってあちこち歩き回ったり、詳しい者が初心者に教えていたりと、一体感みたいなものが生まれていた。  花凛もその輪に加わり、あちこちと歩き回りながら夜空を見上げていた。しかし、ふと気付く。 「あれ……」  たった一人で夜空を見上げる少年がいた。時折、双眼鏡を覗き込んでいる。   双眼鏡を持っている生徒は比較的少なく、持ってきている生徒のほとんどは天文部に所属していた。なので、彼も天文部なのかもしれない。それに、彼は早見盤を手にしていない。見なくても、星座の位置が頭の中に入っているのだろう。迷いのない彼の動きに、花凛はそう思った。  何となく気になり、邪魔をしないようにそっと近づいていく。サクサクと雪を踏みしめる音が響くが、こちらに気付いていないようだ。 「あの……」  彼の側まで行き、驚かさないように小さな声で呼びかける。しかし、そんな花凛の気遣いをよそに、彼は飛び上がるほどに驚き、身体のバランスを崩した。 「わぁっ!」 「うわっ!」  今にもこけそうな彼を助けようと、花凛が手を伸ばす。彼はその手を掴んだが、時すでに遅し。花凛の力では、彼を引き上げることは叶わなかった。  ボスッ。  二人一緒に真っ白い雪の上に倒れこむ。
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