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「目線の高さが違うと、印象も変わるんだな……」
「え?」
駿の呟きに思わず反応すると、駿が花凛の方を向いて、雪を指差した。
「さっき、雪の上から空を見たんだ。そしたら、いつもとは違って見えてビックリした。なんか……視界が広がって、星に吸い込まれそうっていうか」
「そうなの?」
駿の言葉を聞き、花凛は雪を見つめる。すぐに起き上がってしまったことが惜しくなってきた。
「やってみようかな」
「え?」
そう言うやいなや、花凛は雪の上に腰を下ろし、コロンと大の字になる。そして、空を見上げた。
「うわぁ……ほんとだ。星空の世界が目の前に広がって……すごい!」
「冷たくないか?」
「冷たいけど、空がすごい!」
「……だよな」
ポスッという音がするので横を見ると、駿が再び大の字になっていた。
「うん、やっぱすごい」
駿の言葉に花凛が肩を震わせる。
そうだ、こういう時は「すごい」としか言いようがない。他に言葉が見つからないのだ。
「この視界は盲点だったな」
「そう?」
「こけたから見れた。怪我の功名ってやつ?」
「それならよかった」
花凛が笑うと、駿が勢いをつけて起き上がる。そして、花凛に手を差し伸べた。
「これ以上冷やすと風邪ひく」
「うん」
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