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というのも、男が自分の名前だと言った『ケリドウェン』というのは、今さっきも私自身がポロッと漏らしたのだが、ケルト神話に出てくる有名な魔女の一人で、時には月の女神とも冥界の女神ともされているのだが、それと同時に、私の知るケリドウェンには、それとは別に大きな特色とでもいうのか、目立った特徴を持っていっており、それは男を含む目に入るもの全てに関連している事に気付いたからだった。
というのは、私の知るケリドウェンは、『魔力を有する、知識と霊感の大釜』を所持しており、その大釜で一年と一日材料を煮立てて調剤すると、世界最高の「智恵」「霊感」「学問」の三つを得ることが出来る3滴の魔法薬を作ることが出来る…という、設定と言ってはあまりにも味気が無いが、まぁそのような魔女だった。
…ふふ、今こうして軽くでも特徴を述べてみたのだが、これだけでも私が納得いった理由が分かるというものだろう。
んー…ふふ、これは別に補足するまでも無いとは思うが、『男なのに”魔女”の名前なのには疑問に思わなかったのか?』という疑問があるとして、現実世界の中世ヨーロッパを引き合いに出して返せば、詳しくは諸々の制約上において触れないが、当時は魔女裁判というものが盛んであったのは周知の事実として、その裁判にかけられていたのは、女性ばかりではなく、男性も多くかけられていた…という事だけ言い残しておけば十分だろうと判断し、話に戻ろうと思う。
…なので、自分をケリドウェンだと名乗った男に対して、すんなりと納得したのだが、リアクションとしては実際には中途半端に区切ったまま口を止めてしまった私に対して、これといった言葉をかける事もなく、男はただ微笑み交じりの視線をこちらに向けてきていた。
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