一章 フェアリーテイル・ディテクティブ

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「いやいやいや! 待って、ちょっと待ってくれ」  帆影は慌てて、母を制する。 「こんなにたくさん食べれんのだけど!」  すると、咲帆は子どもみたいに頬をふくらませた。 「なに言っとんの。ちゃんと食べんと、ふらふらになっちゃうでしょう? この間、ろくに食事を摂らず目眩起こしたの、どこの誰だったかしら?」 「うぐっ、あのときは食欲がなくて……分かった。餡子の量については譲歩する。けど、ミニみつ豆は本来、ランチメニューについてくるデザートだろう?」 「あなた今、何時だと思っとんの。もうとっくに、お昼だわ」  咲帆の言う通り、時計はすでに十二時を回っている。 「うううっ」  返す言葉もない。反論できない様子の息子に、ぷ、と母が吹き出した。 「ね。観念して、お腹に入れなさい」
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