15人が本棚に入れています
本棚に追加
「いやいやいや! 待って、ちょっと待ってくれ」
帆影は慌てて、母を制する。
「こんなにたくさん食べれんのだけど!」
すると、咲帆は子どもみたいに頬をふくらませた。
「なに言っとんの。ちゃんと食べんと、ふらふらになっちゃうでしょう? この間、ろくに食事を摂らず目眩起こしたの、どこの誰だったかしら?」
「うぐっ、あのときは食欲がなくて……分かった。餡子の量については譲歩する。けど、ミニみつ豆は本来、ランチメニューについてくるデザートだろう?」
「あなた今、何時だと思っとんの。もうとっくに、お昼だわ」
咲帆の言う通り、時計はすでに十二時を回っている。
「うううっ」
返す言葉もない。反論できない様子の息子に、ぷ、と母が吹き出した。
「ね。観念して、お腹に入れなさい」
最初のコメントを投稿しよう!