15人が本棚に入れています
本棚に追加
「──まさかな」
まさか、本当に、森へとつながっているはずがない。ここは、名古屋の街中なのだから。
そう思うのに、高鳴る鼓動がおさえられない。こんな気持ちは、いつぶりだろう。
よく見ると、入口の外、イーゼルに立てかけられた小さな黒板に、店名が書かれてあった。
美麗な筆記体の文字で『探偵喫茶 fairy-tale』と。
カラフルなチョークで繊細に描かれた、妖精の少女の絵も見事だ。
(fairy-tale──ああ、フェアリーテイルか)
アルファベットの読み方に合点のいった帆影は、首をかしげた。
「探偵喫茶ってなんだ?」
おまけに、店名の真下に、謎のメッセージまで添えてあった。
『行方知れずの登場人物、捜します』
最初のコメントを投稿しよう!