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「行方知れず、登場人物……?」
ますます訳が分からない。
そっと、中を覗いてみる。
蔦のトンネルの向こうは、案外、奥まで続いていそうだ。
──ひらり。
いつの間にか、桜の花びらが帆影の手を離れ、意思を持ったかのように店の中へと吸い込まれていった。
風が、帆影の癖のない前髪をさらさらと撫でる。
不思議な風に招かれ、帆影もトンネルをくぐり、店内へ足を踏み入れる。
その途端、ぶわり、とあたたかな空気に包まれた。と同時に、植物の濃密な香りがまとわりつく。
「──わ」
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