一章 フェアリーテイル・ディテクティブ

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 室内に広がっていたのは、一面、鮮やかな緑の世界。  温室のような明るい空間だった。  一本の狭い通路の両脇には、背の高い木々やサボテンの植木鉢が所狭しと並んでいる。  天井からも、いくつもの植木鉢がシャンデリアのように釣り下がっていた。どこを見ても、青々と輝いている。  ハート型の葉っぱがかわいい小さなサボテンは、なんという名だろう。  かがんでサボテンを眺めていると、不意に、誰かに見られている気配を感じた。 「──っ?」  思わず振り返る。  誰もいない。  ただ、木々に隠れて、天使や妖精の小さな像が微笑んでいるのみだ。 (先に進もう)  動悸のする胸を抑えながら、帆影は立ち上がった。
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