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その人物は、ふわりと優雅にあくびをした後、帆影のほうを振り返る。
──その瞬間、帆影は、あまりにも鮮やかな翡翠の瞳に射抜かれた。
(宝石だ)
それが第一の素直な感想だった。
宝石か、もしくは妖精の暮らす奥深い森を想像させる、深く澄んだ緑の双眸。
翡翠の瞳の持ち主は、その目を大きく見開いて、帆影のことを凝視した。
なぜか、ひどく驚いた表情をしている。
(な、なんだ)
そんな顔をされて、帆影だってびっくりした。
たじろきつつも、あまりに引力の強い翡翠から目が離せない。おかげで、相手の容姿をつぶさに観察できてしまった。
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