一章 フェアリーテイル・ディテクティブ

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 その人物は、ふわりと優雅にあくびをした後、帆影のほうを振り返る。  ──その瞬間、帆影は、あまりにも鮮やかな翡翠の瞳に射抜かれた。 (宝石だ)  それが第一の素直な感想だった。  宝石か、もしくは妖精の暮らす奥深い森を想像させる、深く澄んだ緑の双眸。  翡翠の瞳の持ち主は、その目を大きく見開いて、帆影のことを凝視した。  なぜか、ひどく驚いた表情をしている。 (な、なんだ)  そんな顔をされて、帆影だってびっくりした。  たじろきつつも、あまりに引力の強い翡翠から目が離せない。おかげで、相手の容姿をつぶさに観察できてしまった。
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