一章 フェアリーテイル・ディテクティブ

21/31
前へ
/118ページ
次へ
 見れば見るほど、ビスクドールのように美しい青年だ。  いや、青年と言い切るには、やや幼い。  帆影よりひとつふたつ年上、といったところか。少年と青年の狭間であることが、彼の危うい美しさをより引き立てている。  さらさらの癖のない髪は、太陽の光を集めて束ねたような金。  金髪碧眼の容姿はどう見ても西洋人だけれど、日本人と言われればそうも思える、不思議な魅力を持った人だった。  きれいだ、と帆影は素直に感嘆してしまう。  まるで、神様のような。  それにしても、彼の遠慮のない視線が居心地悪い。  帆影がどうにか視線をそらそうとしたのと、美しい彼が可憐な唇を開いたのは、ほぼ同時だった。 「やあ、お客様かな」
/118ページ

最初のコメントを投稿しよう!

15人が本棚に入れています
本棚に追加