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(何なんだ、この絵本……?)
あまりに奇妙な光景に、帆影は眉根を寄せる。
「アリスが、絵本から抜け出したのよ」
来夢は、真剣な面持ちでピートに話し始めた。
「この本、最初は普通の、アリスがいる絵本だったわ。パパとママが、誕生日にプレゼントしてくれたの。どこに行くときも連れていくんだから」
「そっか、君にとって大切な本なんだね」
ピートの相槌に、来夢の瞳が一瞬で輝いた。
「そうよ、わたしこのお話大好き! 不思議の国で、アリスがお菓子を食べたりするとね、体が縮んだり、おっきくなったりするの。それで、涙の池におぼれたり、家から手足が飛び出したりするの。もうめちゃくちゃで、笑っちゃうの!」
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