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「……秋」
帆影はつぶやいて、重い腕をサイドテーブルへ伸ばした。
目覚まし時計と一緒に、いつもそこに置いてあるものがある。きれいなお菓子の缶に大切にしまっているもの。
昔、神様にもらった、お守り。美しい木の実のペンダント。
彼と出会った季節は、秋だった。
あのときの記憶はおぼろげで、帆影はこれまで何度も、あの出来事が夢か幻だったのではないかと疑った。
でも、あれが現実だったと示すものが、確かにある。
ペンダントを手に取る。ころん、とした温もりが伝わってきた。
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