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猿犬キジ夫と彼らの未来
「不意打ち自体かっこいい事じゃねえよ」と、草を生え散らかしたくなった俺の名は猿犬キジ夫だ。鬼王が太郎のことを銀鬼と呼んだのは言うまでもなく魂が銀鬼に乗っ取られているからだろう。
本来なら今日彼女とデートがあった訳だが戦場に放り出されてこのザマだ。自分で言うのはなんだが俺は結構イケメンだ、太郎くらいの年にはかなりモテてた。だが大学生の時に父さんの会社が倒産し借金生活。元の生活に戻るにはサラリーマンの何倍もの収入のここで働くしかなかった。
戦況としては鬼退治チームが前衛3人で後衛が14人、その内の負傷者が1人。退治されるチームが太郎と鬼王の2人。あの2体を同時に17人が相手するのは勝てる確証が持てない。小鬼はこちら側っぽいが確定している訳では無いので中立としておこう。
賭けに出るか。生きて戻ってこれる確証は無いが。
[キジ夫]
「総員、鬼王へ集中砲火だ!太郎と俺には構わず行け!」
俺は空間操作術で太郎の背後にワープする。太郎が振り向き双剣で斬りつけようとして来たが、その隙も与えず太郎と俺がいる空間を箱型に切り取り、空っぽになった鬼ヶ島に転移した。
[太郎]
「何のつもりだ。」
[キジ夫]
「お前との戦いは俺1人が請け負う。そして鬼の魂から解き放つ。最後に空間操作術を継承する。あわよくば共に人間界に帰る。それが俺の考えだ。」
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