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すかさずチャンスだと思った俺は、社員の傷の手当てをしていた場所から立ち上がり、きびボムときびだんごを練り合わせて銀鬼に投げた。隙ができていたため、上手く銀鬼の懐にきびだんごの粘り気でくっつき、爆発させて大ダメージを与えることに成功する。
だが爆風から自分と社員の身を守るために前へ突き出した壊れかけのきびシールドが、ボコボコのバキバキになり、窓ガラスを割って窓の外に飛んでいってしまった。
そんなことより気になるのはキジ夫さんだ。煙が風ではけていく。急な爆発だったので怪我を負わせてしまっていないか心配だ。けれどそんな心配は不要なようで、大剣を両手にドヤ顔でこちらに向いてきた。キジ夫さんの足元には銀鬼の首か転がっており、鬼の息の根は止まっていた。
[キジ夫]
「お前の爆弾のお陰様で大剣の破片がもっと軽鎧の奥に刺さっちゃったよ。肋骨が痛むなー。」
やはり心配は必要だったようだ。
壮大な初仕事を終えてホッと一息つき、3人で塔を降りようとしたその時に事件が起きた。倒されたはずの銀鬼の魂が、背後から俺の体に乗り移る。必死に意識を保とうとするが、どんどん感覚が薄くなっていく。そして俺は最後にこう発した。
[太郎]
「ニンゲンハオワリダ...」
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