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謎の橋
「なんなんだ、この橋は…」
もう何人目になるだろう。
たまたま通りかかった橋を渡っていたら、
3m置きくらいに、同じ背格好の男に抱きつかれる。
長身で、髪はさらさらで、端正な顔立ち。
悪い気はしないけど、
普通に意味が分からない。
もう5人も同じような男に抱きつかれている。
もっと意味が分からないのは、
抱きつかれた時に耳元で囁かれるセリフ。
1人目は、
「おのだ、愛してる。」
2人目は、
「まりえ、愛してる。」
3人目は、
「えりこ、愛してる。」
4人目は、
「こじま、愛してる。」
5人目は、
「ろはん、愛してる。」
男は、それぞれ違う名前で私を呼んだ。
本当の名前はすみれだから、
どうせなら、その名前で読んで欲しいなー
ただ、橋も終盤。無事に渡り終えそうだ。
向こうから最後の男がやってくる。
あれ、この男は、なんだか他の男と違う。
そんな直感がした。運命の人かも。
右手を体の後ろに回して、何かを隠してる。
もしかして、花なんて持ってたりして。
男が近づいてきた。
男は耳元でこう囁いた。
「すみれ、愛してる。」
心がドキドキする。
あれ、心臓がドクドクする。
私は、私のハートを射抜かれた。
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