帰国した元彼は××

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思い出すと今でも涙が出てくる。 「英玲奈…」 「ごめん」 慌てて涙を拭くと抱き寄せられた。 「今度俺もおじいさんの家連れてってよ。線香上げに行きたい」 どのくらい待っていたのか彼のスーツがヒンヤリしていた。 11月なんだから寒いに決まっているのに。 本当は遺作が聞こえた時、冬馬じゃなくて富田さんが弾いているのかと思った。 だって冬馬が一回だけこの曲を私のために弾いてくれた時は、控えめに言っても上手とは言えなかったから。 あれから練習をしたのだろうか。 見違えるほど上達していて驚いた。 練習をしたのは私のため?
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