空白の3年間

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お昼休みになって、クリニックでこの話をするのは憚られてキッチンカーで買ったお弁当を公園のベンチで食べながら今朝あったばかりの出来事を結衣に話す。 寒いけれど夜までは待っていられないし、風邪を引いた患者さんや予防接種で勤務中に無駄口を叩く暇もない。 今日は金曜日で明日は休診だし、滑り込みで受診する患者さんが多い。 うちのクリニックはオフィス街にあるため土日祝は休診で、その代わり19時まで開いている。 「まぁでもヨリを戻したわけじゃないんでしょ?それならこれから何があったかゆっくり聞いて、英玲奈が納得できたら付き合えばいいんじゃない?それに盛り上がって一回ヤッただけでしょ?お互い本当に好きなわけ?」 「うっ…好きは好きだよ。そうじゃなかったら少なくとも私はシないし」 「向こうはただ性欲処理したかっただけかもよ。知ってる?元カノはセフレになりやすいの」 偶然ならともかく性欲処理でわざわざ3年ぶりに元カノに会いに来られたら、こっちはたまったもんじゃない。 所詮他人事だと楽しそうに笑う結衣に少し腹が立ちつつ、私もこれが他人事だったら同じように楽しんだだろうと思う。
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