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「本当に冬馬のこと好きだったの?いつから?」
「最初からかっこいいなとは思ってたけど、好きになったのは一年くらい経ってから。前に話したよね?彼氏と大喧嘩して別れたとこ見られたって」
「うん」
「その時泣いてる私に“彼氏くんもバカだなーこんな可愛い子振るなんて“って言って頭撫でてくれたの。歳の離れた妹がいるって聞いてたし本人は何の気なしにしたことだろうけど、弱ってたし何かグッときちゃったのよ」
好きになるのは個人の自由だし、止められないことも知っている。
結衣が冬馬を好きになった後、どんな思いでいたか考えるときっと辛かったと思う。
でもだからって…
「私たちが別れて喜んでたの?」
「英玲奈はあの時お父さんの看病で精神的に疲れていたし、ヨリを戻したところで上手くいくはずなかったのよ。でも結果的に戻ってきてくれて良かったじゃない」
「あんまりじゃない」
結衣のこと信頼してたのに。
「何が?この前だって横田さんも新藤さんも英玲奈狙いだった。私だって容姿では負けてないのにいつも英玲奈ばっかり。もうウンザリなのよ」
「だからってやって良いことと悪いことがあるでしょ!?」
「ごめんって謝ってるじゃない!」
「本当に悪いなんて思ってないでしょ!?結衣のこと信じてたのに!」
「…私はずっと英玲奈に嫉妬してたわ」
お財布からお札を抜き取ってテーブルに置いた後、彼女は帰っていった。
食べ終わったお皿を見つめながら憂鬱になる。
友達を一人失った。
同時に彼女は職場の同僚でもあるし、会わないわけにも喋らないわけにもいかない。
何でこんなことになっちゃったんだろう。
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