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「どうした?」
私の家のソファーに並んで座って、冬馬の肩に頭を預けながら心ここにあらずだった。
冬馬とは付き合っていないけど、たまに会っている。
ほとんど付き合っているようなものだけど、彼は手を出してはこない。
進藤さんに言った言葉はどうした?と自分でも思うし、元奥さんのことも気にならないわけじゃないけれど、今はこうしていたかった。
テレビに流れるお笑い番組で少しも笑わないことを不思議に思った冬馬が私の顔を覗く。
「ううん、ちょっと眠たくなっただけ」
「結衣ちゃんのこと考えてた?もし働きづらいなら転職も考えてみたら?もし仕事辞めても俺英玲奈を養えるくらいの収入はあるよ」
「それも良いかもね。養ってもらうのは違うけど」
「英玲奈が元気になりますように」
そう言って冬馬が私の脇腹をくすぐる。
「ちょ、やだやめっ、くすぐったい」
身体をよじって、ケラケラとひとしきり涙が出るくらい笑った。
結衣のこともそうだけど、最近他に気になることがあったのをその時はまだ冬馬には言わなかった。
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