好きだからこのままじゃいられない

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「俺、何で親が会ってもいない英玲奈との結婚を反対するのか全然分からなかった。ただ単に忘れられなかったからって逆玉捨ててまで離婚して再婚することに呆れてるのかと思ってた。でも違ったんだな…」 「でもね、逆に言えば援助してもらったお金を返済すれば冬馬のご両親が私たちの結婚に反対する理由はなくなるわけでしょ?華さんにしても、離婚は成立していなかったけど冬馬が日本に帰って来てからは別居してるんだし、そのことも含めて弁護士さんに相談してみない?」 「とりあえず親にいくら援助してもらったか聞いてみるよ。返済も少しはしてるだろうし。もう夜中だし明日の朝にでも」 「うん。さっきここを出て行くって言ったのは、このまま住み続けたらこっちが不利になるって思ったからなの。知らなかったとは言え、今私たちがしてるのは不貞行為なんだよね…」 冬馬がまだ戸籍上では誰かの夫なんて認めたくなかった。 華さんに訴えられれば慰謝料を払わなければいけないのは私の方なのかもしれない。 そう考えるとゾッとしたし、怖かった。 亜美さんに聞いた限りでは頭が切れる人みたいだし、もしかしたら私たちは別れさせられるかもしれない。 側から見れば彼女が妻で、私は不倫相手なのだから。
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