好きだからこのままじゃいられない

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「とーうまっ!久しぶり!」 待ち合わせたカフェで、久しぶりに会ったからと言ってどう頑張っても笑顔で応えるなんて出来なかった。 会うのは一年ぶりくらいだろうか。 「…元気そうだな」 オーダーを取りに来た店員さんが去っていくタイミングで鞄から離婚届を取り出した。 前に書いたものがどこにあるか聞くよりずっと早いし、サインして貰えばこちら側で確実に出せる。 「華、記入してくれ」 「嫌よ。わたしにとって冬馬より都合のいい人間なんていないもの。そんなに早く本題に入らなくったっていいじゃない」 「都合のいい人間なら探せば他にいくらでもいるだろ。三井食品の社長の椅子に座りたい奴は腐るほどいる」
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