桃太郎異聞(加筆修正版)

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 猿の摩羅をしゃぶり始めた桃太郎に鬼たちは度肝を抜かれておりますが、構わずちゅぱちゅぱと吸い続ければ、猿はとても気持ちよさそうに腰をくねらせます。  子種を吸い出すというより、尺八がいかによいものかを知らせることが目的です。しかし、猿の摩羅を吸っている姿を、鬼とはいえ複数の男たちに見られている状況は、桃太郎の摩羅にも興奮の火を灯しました。  一方、同時に呼ばれたのに構ってもらえない犬は、きゅんきゅんと切なげな声を上げて、桃太郎の肩の辺りに鼻を押し付けてきます。自分の摩羅も吸うてくれと素直に懇願するその様子は、欲望に不正直な鬼たちに比べれば極めてかわいらしく思われ、桃太郎は初めて犬の頭を撫でてやりました。  犬は尻尾をぶんぶんと振り、喜色満面でハッハッと長い舌を出します。全身で喜びと欲求を(あらわ)にする様は、堅物の権座に打ち砕かれた桃太郎の自尊心を癒しました。 「よしよし、そなたも吸ぅてやろう」  これまでにない優しい調子で声をかけ、すっかり肉付きのよくなった犬をひっくり返すと、ぱくりと摩羅を口に含みます。たったそれだけのことで、犬は感無量と腰を振りました。  すると今度は猿が桃太郎の着物の袖口を掴み、遠慮がちな力でくいくいと引っ張ります。犬の摩羅をしゃぶったまま目線だけを向けると、真っ赤になった摩羅を器用に手で掴んだまま途方に暮れた顔をしている猿と視線が合いました。その様子があまりにも健気でしたので、桃太郎は猿の頭も撫でてやり、犬の摩羅から口を離さないまま、猿の摩羅を手で扱いてやります。  鬼たちは口ぐちに何か言っておりますが、ちらりと盗み見れば、皆一様に顔を紅潮させ、その腰布は大きく張り出しております。  獣の摩羅に奉仕する姿を見られ、その姿で複数の鬼を興奮させているのだと思えば、桃太郎は自らの摩羅に手を伸ばさずにいられません。  黄鬼に緩く着せられただけの着物は、お(あつら)え向きに前が大きく肌蹴(はだけ)、真っ白な足が根元まですっかり見えております。そこで桃太郎は苦も無く片手で褌を解くと、既にすっかり勃ち上がっていた摩羅を扱き始めました。  手淫の快感によって、神通力が全身にずくんずくんと満ちていきます。久々の感覚に、桃太郎はうっとりと目を細めながら、犬の摩羅を吸い、猿の摩羅を扱き続けます。更に、一人遊びでは足りぬとばかりに、鬼たちによく見えるよう足を大きく割り開いて、己の摩羅をも存分に扱き上げました。  巧みな口淫に堪えきれなくなったのか、まずは犬があおっあおっと高い声で鳴いて、桃太郎の口中に子種を飛ばしました。いつもならすぐに飲み干してしまうところですが、桃太郎はあえてそれを飲み込まないまま、猿の摩羅に移ります。桃太郎の細い指で限界寸前まで昂らされていた猿は、軽く吸い上げただけで涎を垂らして腰をかくかくと振り、こらえる間もなく桃太郎の口に子種を漏らしました。  一般に仲が悪いと言われることの多い犬と猿でしたが、桃太郎の口の中で交流し、和解し、渾然一体となっております。  合わさった子種は、これまでで一番濃い獣臭さを醸し出しておりました。こんな獣臭いの子種を飲む浅ましい自分の姿を思うと、桃太郎の背筋にはぞくぞくとした興奮が駆け上がってまいります。  ――あぁ、うまい。うまくてたまらぬ。  桃太郎は二種類の子種が混じり合った新しい味わいを舌で存分に堪能したのち、仰のいてごくりと飲み込みました。  実に三日ぶりの食事です。体に染み渡っていく子種の生命力に、意外や意外、ありがたくて涙さえこみ上げてきました。  この時初めて、桃太郎の胸に、ここまで勝手についてきた犬と猿への感謝の心が芽生えました。ついてこいと言ったわけではありませんが、そうは言ってもこうして助けられているのはありがたい話です。それに、悪意の一つもなく、桃太郎の尺八と甘露に惹かれてこのようなところまでついてくるあたり、愚かで素直で可愛らしいことこの上ありません。そういう意味では、元の飼い主から桃太郎に命を委ねられた挙げ句、鬼たちの生活を助けることになりそうな雉も大したものです。  ――ほんに、何が幸いするかわからんものよ。こうして無事に鬼たちの摩羅に向き合えた幸いを思えば、こやつらの存在もありがたいことよのぅ。 「ご馳走様でした。助かったぞ」   桃太郎は慈愛に満ちた表情で、お供の動物たちに向けて礼を口にしました。  ところで、そのような美しい心境の変化がありつつも、もちろん桃太郎の摩羅は中途半端に勃ち上がったままでした。
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