桃太郎異聞(加筆修正版)

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 青鬼の摩羅を視線で堪能した桃太郎は、次いで視線を黄鬼の股間に移します。黄鬼は下腹の繁みすら金毛で、その中心からそそり立つ茅色(かやいろ)めいた摩羅と相まって、まるで法具布団とその上に据えられた法具のように、なんだか大層ありがたいものに見えてきます。岩場で目にした折は羞恥を含んだ半勃ちでしたが、今や屹立は堂々と欲情を伝えており、その形は精魂込めて作られた宝物のようですらあります。  そして驚くべきは、大きな松茸のように開いた傘でした。摩羅の先端が膨張し、傘の軒先部分は柱に影を落とすほど張り出しております。その甚だしい張り出し具合は、よしんば摩羅を口に入れられたとて、歯につっかえて二度と抜けないのではないかと恐ろしくなるほどでした。  そして最後に、最も気になっていた赤鬼の股間に視線を移します。青鬼も黄鬼も素晴らしい摩羅でしたが、しかしやはり一等目を引くのは、赤鬼の摩羅の大きさの途轍もなさでした。赤鬼の摩羅は口に入れることなどはなから思いもつかない巨大さで、桃太郎の腕ほどの太さがあります。ぴんと張った茅色めいた皮膚には青い血の筋が浮き出し、先端は赤鬼の臍を優に越えてそそり立っております。甚だ真っ直ぐな大黒柱の下に張った玉袋は、化け狸もかくやと思うほどの物々しさで実っており、初めて桃太郎に摩羅ではなく玉を口に含んでみたいと思わせました。あまりにも出鱈目なその股間の造形は、あれほど尺八好きの桃太郎にすら口で挑みたいという気持ちを起こさせない程で、美々たる姿を愛でながら舐め扱くことしか考えられません。  夢にまで見た鬼の摩羅を三本も目の前にし、桃太郎はこれ以上ないほど陶然とした表情になりました。 「なんと立派な……」  もう少しも我慢できず、両手を伸ばし、そっと赤鬼の巨大な屹立を掴んでみます。片手では到底指が回り切らないその柱は、手の平にどくどくと脈を伝えてきます。あまりの大きさに、触ってみるまで摩羅と信じられないほどでありましたが、この手触り、脈、そして何より先端から馨るむわっとした雄臭さは、まさに摩羅そのものです。  桃太郎は恭しくその先端に口づけ、既に溢れ出している透明の汁をじゅうと吸いました。 「オゥッ……!」  感極まった赤鬼の声が頭上から降ってきます。先端をちろちろ舐めながら両手を玉に添えれば、まるで銭袋のようなずしりとした重みがありました。なんという雄々しさかと、桃太郎は愛おしむように玉を揉み揺らしました。  赤鬼は鼻の穴を膨らませ、ふぅふぅと荒い息をついて興奮を(あらわ)にしておりますが、桃太郎をどう扱っていいかわからないのか、体の両側でただ拳をぎゅうと握り締めております。そのもの慣れなさは、異形の鬼ながらも、不器用な愛らしさがありました。  奥手な様子の赤鬼に対し、百戦錬磨の桃太郎は、赤鬼の玉を両手で可愛がったまま、茶色い繁みに埋もれた根本に舌を埋め込み、ぬぬうっと裏筋を舐め上げます。すると、巨大な摩羅がまるで生き物のようにぶるんぶるんと動き、溢れ出した透明な汁で桃太郎の花の(かんばせ)を汚しました。 「あぁ……堪らぬ……堪らぬわ……」  熱っぽく独り言を漏らす桃太郎を見て、遂に我慢ができなくなったのか、我も我もと黄鬼と青鬼が桃太郎の顔の傍に摩羅を寄せます。それぞれに美しく卑猥な三本の摩羅に囲まれ、濃い雄の臭いに包まれて、桃太郎はくらくらと眩暈がしてきます。ああ手が十本ほどあればと思いながら、桃太郎は三本の摩羅を代わる代わる扱き、その先端に口づけました。  当然(はな)から興奮していた桃太郎ですので、少し先端に口づけただけでも、神通力がどんどん鬼たちの摩羅に注ぎ込まれていきます。そのせいでより昂ってしまったのか、鬼たちは自制心を保つことができなくなり、てんでにその手を桃太郎の体に伸ばし始めました。
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