桃太郎異聞(加筆修正版)

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「あ……あ……」  抜き差しを繰り返された余韻と、腹を満たす熱い衝撃に、桃太郎は途切れ途切れの声を上げ、びくりびくりと全身を震わせます。しかし、ままならない体とは正反対に、桃太郎の頭はかえって正気付いてしまいました。 「子種が……あぁ、鬼の子種が……」  わなわなと唇を震わせるのを、鬼たちは種付けに感じ入っているのかと思いました。しかし、とろけていた桃太郎の目がくわっと釣り上がります。 「飲ませろというに!」  放出の余韻に浸っていた黄鬼でしたが、怒鳴られてひっとすくみ上ります。青鬼と黄鬼も、桃太郎の突然の剣幕にのけぞりました。 『子種は適当に出さず、きちんと桃太郎に飲ませること』  その約束を思い出しても、後の祭りです。 「ゴメンナサイ モモタロサン ゴメンナサイ」  黄鬼は一度の放出ではほとんど萎えていない摩羅を慌てて引き抜き、「あうんっ」と桃太郎を喘がせつつも、平身低頭で詫びました。 「ナンデモ シマス。 イウコト キキマス。 キライニ ナラナイデ」  大きくて恐ろしげな鬼が目に涙を溜めているのは、案外同情心をそそる眺めでした。悲しみの気配を察したのか、今まで大人しく天幕の入り口で外を見張っていた猿と犬がやってきて、慰めるように鬼の目元を舐めます。 「アァ ヤサシイ アリガトウ アリガトウ」  涙ながらに猿と犬に礼を言っていますが、子種を飲ませてくれないのであれば、桃太郎にとって黄鬼は弁当以下です。桃太郎は無情にも、 「決め事を守れぬとは、男子の風上にも置けぬ奴め。そなたなど、そこの犬猿にも及ばぬわ!」 と言い放ちました。  黄鬼は股間を丸出しにしたままひれ伏し、桃太郎の怒りが収まるのをひたすら待っています。青鬼は一緒に謝るどころか、「オコラレタ オコラレタ」と囃し立てました。桃太郎の初菊を散らした黄鬼を羨んだのかもしれません。  しかし赤鬼からは、意外な助け舟が出ました。 「モモタロサン オコラナイ。 スグ 子種お尻ニホシイ イウヨ」  桃太郎はその不穏な言葉にぎくりといたします。  実は桃太郎は、先ほどから黄鬼の子種で腹の中がかっかっと熱くなり、空腹で萎えそうになっていた四肢に力が漲っていくのを感じていたのです。子種を食事として飲み続けて、それしか生きていく術がないものと思い込んでおりましたが、どうやら腹の中に直接注がれるのでも十分に力を得られるようです。むしろ、腹は甘露の源である摩羅に場所が近い分、口から飲むよりも早く神通力に転化できているようにも感じられます。  しかし、菊座を摩羅で責められる快感は、凄まじすぎて恐ろしくさえ思えます。更に、あんな恥ずかしい音をさせて摩羅が尻の穴に出たり入ったりしたのだと思い出すと、もっとしてほしいと簡単に認めることもできません。  桃太郎は生まれて初めて、快感を求める貪欲さを戒めようとしていました。腹がすいたからとおいそれと強請(ねだ)るには、菊座に摩羅を抜き差しされるという行為は卑猥すぎる気がしたのです。 「う……うるさい! そんなことは言わぬ!」  縛られて転がされた無様な格好のまま、桃太郎は顔を赤らめてそっぽを向きましたが、赤鬼は「ホントニ?」と意地悪げに笑っております。どうやら生真面目な黄鬼とも、まだ幼さを残す青鬼とも異なり、赤鬼は人一倍、いや鬼一倍色事に慣れている様子です。  これまで思い通りに男達を操ってきた桃太郎ですので、自分の意に染まぬ欲望を指摘されるとどうにも口惜しいものがありました。  しかし、空腹で萎びる寸前であった体は、黄鬼の子種でいよいよ力が漲り、元気よく更なる子種を欲しています。それに、口に入りようもない大きな傘をした黄鬼の摩羅を呑み込めた菊座であれば、努力すればもしかすると、赤鬼のべらぼうな摩羅も咥えられるかもしれぬという期待感も、ないとは決して言えません。  誤魔化すように「いいから早う子種を飲ませろ」と不遜に言い放ちますが、一度も達せず性感をいいだけ煽られた桃太郎の体は、乳首をぷりぷりに腫らし、縛られた摩羅は先端に滴を滲ませ、菊座からは油と子種を僅かに漏らしながら、早く触ってくれと全身で叫んでおりました。 「ジャア 子種お尻ニホシイ イウカ タメス?」  赤鬼は確信に満ちた様子で言うや否や、桃太郎の背に手を添えて、ひょいと抱き上げました。そして黄鬼に「×××」と鬼の言葉で何事か話しかけます。  黄鬼は縋り付くような瞳で何度も首を縦に振り、それまで桃太郎が転がされていた毛皮の上に自ら仰向けにごろりと横になりました。 「何を言ったのだ?」  黄鬼の奇妙な動きに、抱き上げられたまま不思議そうに桃太郎が尋ねると、 「カレ モモタロサンノ フトン」 と、赤鬼は意味のわからないことを答えます。そして言うが早いか、引き締まった黄鬼の腹の上に桃太郎を下ろし、後ろ手に縛っていた革紐をするりと外しました。  赤鬼が手を離すと、膝下と太腿を合わせて結わえられたままの桃太郎は黄鬼の上でころりと転がってしまいます。それを黄鬼は大事そうに受け止め、自由になった桃太郎の両手首を掴み、引き寄せました。真っ直ぐに伸びた桃太郎の腕は、手首がちょうど黄鬼の首の辺りに届いています。  赤鬼は先ほど解いた革紐を、桃太郎の片方の手首に巻き付けると、余った部分を黄鬼の首の裏側に回し、もう片方の手首に結わえ付けてしまいます。桃太郎は万歳の形で黄鬼の首に固定されてしまいました。  更に赤鬼は、桃太郎の膝下と太腿を固定した左右の革紐同士を、別の長い革紐で繋ぎました。何をするのかと不思議さが勝って、桃太郎はされるがままに成り行きを見守っております。すると赤鬼は、左右の足の間を結んだ革紐の中ほどを、手首の革紐と同様に黄鬼の首の裏側へ引っ掛けてしまいました。 「なっ…」  取らされた格好の恥ずかしさに、桃太郎は唖然と言葉を失います。桃太郎は黄鬼の腹の上で大きく足を割り開かれ、両手両足を黄鬼の首裏に固定された、あられもない姿になっていたのです。黄鬼の腹の上で、乳首も摩羅も菊座も、揺蕩(たゆた)う蝋燭の炎の中に晒されています。鬼の腹の上に捕縛されるのは、毛皮の上で全身を暴かれるより、更に卑猥なように思われました。  桃太郎の尾てい骨が、既に完全な硬さを取り戻している黄鬼の摩羅の先端をごりごりと押し潰します。桃太郎は密着した背中で、黄鬼の興奮に躍る心の臓の音を感じ取っておりました。 「モモタロサン ユルシテクレルマデ ガンバリマス」  黄鬼は決意に満ちた声で言い、自分の上に乗せた桃太郎の両の乳首をぎゅうと捻りました。 「あぁっ」  散々嬲られて腫れた乳首は、そんな単純な刺激でもじんと痺れ、桃太郎は腰をがくっと大きく動かしてしまいます。 「ウゥッ」  薄い肉越しに骨で摩羅をごりっとやられた黄鬼は思わず呻きますが、桃太郎を気持ちよくして許して貰いたい一心で堪えます。青鬼に何事か声をかけ、休まず乳首をぐりぐりと捻り、不自由な首を動かして桃太郎の耳に舌を差し込んで舐め回しました。  じゅるっぶじゅうっという音が直接耳から脳に流れ込んでくるようで、桃太郎は鳥肌を立てながら「あーっ」と大きな声を上げます。  すると青鬼が「××サマノ オネガイダカラ シカタガナイネ」と言って桃太郎の顔に跨り、摩羅で桃太郎の口を塞ぎました。そのまま焦らすこともなく、摩羅の先端で桃太郎の喉の奥をぐっぐっと突いてきます。 「ふごっ、ぷごっ」  突然のことに、桃太郎は目を白黒させながら篭った悲鳴を上げました。黄鬼はそんな桃太郎の耳を長い舌で懸命に穿(ほじ)りながらも、青鬼の摩羅が桃太郎の口に抜き差しされているのを、熱っぽい目で見つめております。頑張ると言ったものの、一度味わった快感は忘れがたいようで、桃太郎の腰に先走りの汁を擦り付けていました。  そんな黄鬼を見咎めた赤鬼が、 「××サマ モモタロサンノ フトン ウレシイネ?」 とからかいます。  黄鬼は鬼の中では立場があり、彼らの言う『神』にも敬虔だったのでしょう。それが今や、美しく淫らな桃の精を腹に乗せ、その腰にいきり立った摩羅を擦り付けているのです。  恥を指摘され、黄鬼の体がびくりと震えるのを、桃太郎は背中越しに感じました。しかし、それでも黄鬼は桃太郎の耳と乳首を責めるのを、腰を蠢かせるのを止められません。  睦んでいる桃太郎と黄鬼と青鬼を見て、赤鬼は目を細めます。 「モモタロサン 乳首ト 喉の奥 ウレシイネ? ロー××× モモタロサンノ喉デ 摩羅気持ちいいネ? ××サマ フトン ウレシイ。 ジャア アト ワタシネ?」  ぺたり、と、潤んだ菊座に熱いものが押し当てられるのを感じました。 「ううっ?」  桃太郎はまさかという思いに目を見開きますが、青鬼がすかさず摩羅で喉彦を押し潰し、桃太郎の上下の歯に指をかけ、口が閉じないよう渾身の力で割り広げます。黄鬼も引き千切らんばかりに桃太郎の両の乳首を引っ張り、更に耳に噛り付きました。 「んううぅぅーっ!」  痛苦しい快感に甘い悲鳴を上げたその時、桃太郎の菊座に、熱された赤銅のような物がずずずっと容赦なく入り込んで来たのです。
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