ぼくは洋服屋さん

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こちらも白いポストを覗く。 お、今日の依頼が来ているではないか。 ぼくはまだ誰のものでもない洋服も作るけれど、こうやって依頼された洋服を作ることもある。 丁寧に折り畳まれた手紙を開く。 「そろそろ寒くなってきたので暖かい外套を作ってくれませんか?ビロードの生地に星の柄を刺繍してください。  夜空より」 ふむ、今日は夜空さんからの注文のようだ。 夜空さんには夏にも注文を貰った。その時の黒い布のあまりでぼくのズボンはできている。 まだ寒さは遠くに感じるけれど、空の上はここよりも少し冷えるのだろう。 幸い今は他に依頼も来ていない。 作り途中の洋服はあるけれど急ぎではないし、なにより夜空さんが風邪を引かないようにぼくは早速外套作りに取り掛かることにした。
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