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だけれどまだこれで終わりではない。夜空さんにきちんと届けてやっと完成するのだ。
でもぼくのちっぽけな体では夜空さんまでは届かない。
そんな時は郵便局へ行く。
ぼくは部屋の灯りを消し、カップに少し残っていた冷めたコーヒーを飲み干して、外套の入った紙袋を手に外へ出た。
風が少し冷たくなっていた。
これでは夜空さんが寒いのも納得だ。
ドアにカチリと鍵をかけ、ぼくは歩き出した。今度は今朝通ってきた道の方だ。
バラの小道まで来たところで左手の更に細い道へ曲がる。辺りはしんとして、ぼくの靴音がコツコツと響いている。
しばらく歩くとひらけた場所へ出た。
薄いグレーのコンクリートの小さな建物に、赤いペンキで郵便局のマークが書いてある。オレンジ色の灯りに照らされて、なんだか不思議な雰囲気だ。
そしてここが、ぼくの目指していた"郵便局"だった。
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