始まり

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そして、3分ほど歩いていると、大きな桜の木があった。 「綺麗だな〜」 その時ふと、お母さんとお父さんで花見をした日を思い出した。 「あの頃は楽しかったなぁ〜って、何言ってんの私。」 私は今の気持ちを振り払うように頭を振る。 「お母さんとお父さんが頑張っているところが好きなんだから。」 私は自分に言い聞かせる。 (そうだよ、ぜんぜん寂しくなんか…) そう思った瞬間、何故か涙が溢れてきた。 「どうして…」 私は、少しの間静かに泣いていた。 数分後、冷えてきたので家に戻ることにした。京都の冬は寒い。今も、寒くて氷そうだ。 (なんでこんな日に散策したんだろう。馬鹿だなぁ私)  そして、涙を拭い桜の木に背を向けると誰かの声が聞こえた気がした。 (気のせいかな?) そう思いながらも桜の木に歩み寄ると突然辺りが明るくなった。 「!!???」 あまりの眩しさに、詩織の意識はどこか遠くへ行ってしまった。
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