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『────あいつは魔女だ! 殺せッ!』
耳をつんざく喧騒。暴動。追い掛けられる恐怖。真っ暗闇。どこに逃げればいいのか判らない。どう逃げればいいのか判らない。
けれど、捕まってしまったあとのことは容易に想像出来る。逃げなければ。足の骨が折れようが、走り続けなければ。そうしないと──……
どうしてこんなことになってしまったのか。どうすれば良かったのか。回避するチャンスはあったのだろうか。そんなことを考えても、もうこの現実は変えられないもので。
絶対に、逃げてやる。
後ろから追い掛けてくる恐ろしい群集。これではどちらが魔女なのか。どちらが魔性のものなのか。
──絶対に、逃げ切ってみせる。
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