貧しいことは美しきかな

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貧しいことは美しきかな

【洋一サイド】 勘違いしないで欲しい。男はみんな大きな胸が好きな訳じゃない。スレンダーな貧乳が好きな男もいることを忘れないで。 そして、貧乳好きがロリコンな訳でもない。もう一度言う。貧乳好きがロリコンな訳でもない!重要なことだから二度言った。 俺の理想は成人して何年も経って、もうそういう子どもっぽい下着は似合わないのに、サイズがちょうど良いからと、無防備にカップが小さな、あどけないデザインのティーンズ用のブラジャーを身につけて平然としてるような、男の好み、何それ?関係ないよねと言うような無頓着な女性。 つまり、Aカップですら余ってしまい、不本意ながら25歳にもなってティーンズ用のブラジャーで、やっと体裁を保つような女性が好みだ。 誤解のないようにもう一度言う。ティーン女子がティーンズ用のブラジャーをしていても全く萌えない。食べ頃の25歳女性が、サイズが合うからしてるだけの無防備でアンバランスなブラジャー姿が堪らないのだ。 そして俺はとうとうその理想の女性に出会ってしまった。勢いで情事に及ぶときは男も女も隙だらけ。勝負下着なんてものを身につけていない。 街を流れるクリスマスソングとやらが、やたらクリスマスに一人で過ごすのは淋しいことだと、歌詞で洗脳してくる。その洗脳に乗ってみただけだ。 クリスマスに一人の夜は淋しい。だから、初めて飲み会で知り合った女性と勢いで12月上旬の夜にホテルへと雪崩れ込む。 あと三回逢うとして、クリスマスに一人ぼっちという事態は避けられる。そして、お互いに相性が合わなければ、仕切り直して別の相手を探すことも出来る。 12月上旬の夜の勢い任せの情事は、ワンナイトで終わるか、クリスマスまで楽しめる付き合いになるのか、化かし合いのようなスリリングな楽しさがある。 ところが、余裕を失ったのは俺の方だった。好みドストライクの、貧乳、25歳、無防備なティーンズ用ブラジャーを身につけた、理想的なウブな女性を引き当ててしまった。 好みドストライクで、ワンナイトにするつもりがなくなって、しかも彼女は途中までは怯える様子も慌てる様子もなかったので油断していた。 いざ、鎌倉ならぬ、いざ情事のメインディッシュというときに、俺のテクニック不足なのか、メインディッシュがなかなか上手くいかない。 「久しぶりで緊張しちゃって、ごめんね」 枕に顔をうずめながら恥じらう、彼女の言葉を真に受けた俺が馬鹿だった。 メインディッシュに無事到達したそのとき、俺は異変に気がついた。血の気が引くとはまさにこのこと。彼女は「久しぶり」だと嘘をついていた。どう見ても彼女の方に経験がないことを示すその事態に俺は焦った。 「初めてなのにどうして嘘ついたの?」 彼女は目を合わせずに、 「ち、違う。その、アレが始まりそうなだけだから…」 横を向いたまま言い訳をする。ちなみに人並みに遊んできた方なので、女性のアレとはまた違うことも分かっていたし、アレのときにいたしてしまう女性が稀少種だということも知っている。 「嘘、下手だね。慣れてないってしてればわかるからさ、痛くしないようにゆっくりするから」 横を向いた彼女の耳から頬に唇を這わせながら、目を見て貰えるように唇にキスをして正面を向かせる。 「面倒くさいと思われたくなくて…」 やっと本音が聞けた。好みドストライクのAAAカップの胸、サイズが合うからと大人の女性なのにティーンズ用のあどけないブラジャー、おまけに嘘ついて実は初めてとか。 これはクリスマスどころか、末長くお突きあいならぬ、お付き合いしたい可愛らしさ。 神様、ありがとう。俺は無神論者だったけど今日から神様を信じるよ。 「そんな風に思ったりしない。どうして俺を選んでくれたのか教えてよ」 ゆっくりと彼女を傷つけないように愛しながら耳元でささやくと、 「髪が猫っ毛で柔らかそうだなって。柔らかくてサラサラの髪の男の人が好きなの。この髪に指を絡ませることが出来るなら、絶対後悔しないって…そう思えたの」 俺の髪に指を絡ませながら恥ずかしそうに、熱い吐息を漏らしながら伝えてくる彼女。 猫っ毛が好きって髪フェチ…ってことか。俺は顔はそんなに良くないので、トークで女を落としていくスタイル。髪質が好みとは今まで女達に言われたことがない。 しかも初めての経験をするに当たって髪質が決め手になったとは…。貧乳フェチの俺が言うのもなんだけど、世の中には髪質に惚れて自分の初体験の相手を決める女性もいる。 情事の世界は奥深く、まだまだ見知らぬことがある。29歳にして俺は初めて、初体験の女性を抱き、しかもその感度の良い小ぶりな乳房を堪能する。 彼女に次もまた逢いたいと思わせたい。俺は今までの経験を総動員して彼女を喜ばせた。
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