1章 眼鬼

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「臨」 「臨!」 「兵」 「兵!」 「闘」 「闘!」 「者」 「者!」 「皆」 「皆!」 「陣」 「陣!」 「烈」 「烈!」 「在」 「在!」 「前」 「前!」 「臨、兵、闘、者、皆、陣、烈、在、前」 礼司は九字を切ると刀にありったけの気を送った。 礼司の両腕からまるで血液が飛び出しそうに何かが 刀に伝わるとそれが七色に光り輝き刀の先(鋒)から 放電しているかのように見えていた。 「おおおお、来た来た」 「まだよ!」 由美が勾玉を手で囲み祈ると社殿から光が礼司の刀に向かって輝いた すると刀から延びる光はだんだん長くなっていった。 「由美さん、いいか?」 「はい!」 「おりゃ~~~~~~」 礼司は雲に向かって大上段から振り下ろすと 「ギャー」 雲は空に大きく広がった。 「手ごたえあり」 「うん、すごい!」 礼司は魔美の声に勢いに乗って何度も目玉を切って行った。 「ハッハッハッ、どうだ参ったか?」 「まだだよ」 大きく広がった雲に全く反応が無くなっていた。 「どうやったらいいんだ?」 体力に自信があった礼司だが1kg以上あった日本刀を振り回して 腕が疲れ息が切れていた。 礼司が休んでいる間に雲はあっと言う間に復活し目の形に戻り 赤い光線を放った。 「ハッ」 由美は右手を上げてバリアを張った。 「キャー」 ショックが三人とタクシーを揺らし礼司は魔美の椅子をしっかり持った 魔美も礼二も飛んできた小石で顔に傷り血を流していた。 間髪入れずに目玉は再び赤い光線を放った。 「ハッ」 由美はバリアを張ったがその力弱く、礼司は由美を抑えるのやっとで 魔美が地面を転がり、タクシーが横倒しになった。 「俺、食われる!」 栗原はが悲鳴を上げた。 「馬鹿。お前だけじゃない俺達も目が合っているから食われる」 礼司は由美の車いすの前に立ち大股で立った。 「もう許せねーぞ!来るなら来い!」 赤い光が礼司に光を放った。 「夜野さーん」 魔美が赤い光に囲まれた礼司の名を呼んだ。 礼司は刀を縦に持ち光線を反射させたが 服がボロボロになっていた。 「制服は会社の支給品だ!弁償しろ!」 礼司は今まで倒してきた鬼を頭に浮かべた。 「天の力よ、地の力よ、風の力我に力を・・・」 礼司は気を刀に溜め大上段から大きく振り落とし 刀の先から光を放っていた。 「ゴゴゴゴゴ・・・」 目玉が音を立てて小さくなって行った。 「魔美、矢をよこせ」 怒った礼司は矢を持ってグルグルと回し 気を矢に送ると魔美に渡した。 「魔美、放て!」 魔美が放った矢は目の中央の黒い部分にあたるとそれが突き刺ささり どす黒く変化した、 「反応ありだな。矢は後三本か?」 「うん」 礼司は三本の矢を持って祈ると腕から血がにじんできた。 「夜野さん、腕から血が出ている」 「気を入れているんだよ」 「どう見ても血なんだけど・・・」 そう言うと魔美の矢は真っ赤になっていた。 「魔美、目玉が復活して来たら弓を放て!」 「うん」 礼司は振り返って社殿に向かった。 「鏡、鏡」 礼司は靴を脱いで社殿に奥に行き鏡を見つけそれを手に取って 戻った。 「礼司さん何を取って来たの?」 「さっき、刀であの光線を反射させたから今度は銅鏡で反射させる」 「なるほど・・・」 「魔美、残りは?」 「後一本」 「魔美、ちょっと待てやる事がある」 「早くしないと復活してしまう」 「由美さん!」 「わかった」 由美は右手でパワーを銅鏡に放った。 「さすが元夫婦」 それを見ていた魔美は呟いた。 由美はパワーをありったけの気を送ったせいで眩暈で倒れそうになった。
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