1章 眼鬼

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「妖怪は想像上の物体で昔何か奇怪な事があると妖怪のせいにしていた、鬼はあなたが見た通り人間を食う事だけよ」 「鬼は人間を食ってどうするんですか?そしてどこから来るんですか?」 「餌!」 魔美は地縛霊とパラレルワールドと鬼の話を省略した。 「わっ」 「鬼のいる世界は私たちの住んでいるパラレルワールドの間にある みんなが言う地獄と言う世界よ」 「じゃあ、みんな食われてしまうんじゃないですか」 「地獄と私の世界は簡単に行き来できないから、簡単に鬼は来れないわ」 「高い塀があったりして」 礼司はまた冗談を言っていた。 「そもそもあなたたちが私に変なことしたから鬼が来たのよ」 魔美は栗原を脅かしていた。 「すみません・・・でも良かった鬼を殺してくれて」 「また、誰かが空間を破る事をしたら現れるかも・・・」 「怖い!」 栗原は体を縮めた。 「それから、巫女に手を出したら罰が当たるという事は何んだ?」 「運が悪くなる」 「どれくらい?」 「人生の中で選択する50%が0になる」 「ん?つまり右と左どっち選んでもスカか?」 「そう、じゃんけんは絶対勝てない」 「あはは、究極の選択が間違うとは不幸な未来だ」 礼司は結婚相手に困った時、結婚すると不幸な相手を 選ぶことを思い浮かべていた。 「だって私たち世の中を護っている巫女を襲うなんて許されないわ」 「なるほど、あの二人気の毒にな未遂でそれなら・・・本当に襲っていたら?」 「鬼に食われる」 「はあ・・・」 栗原は友達を気の毒に思った。 「ところで、どうやって戻るつもり?夜野さん」 「わからん、魔美の声が聞こえた時、栗原君の車があっちへ行った。 それからもう一人の俺、魔美のパパさんの意識に頼んでこっちへ来たのは良いが。帰り方がわからん」 「あっそうか。引き合うつながりが切れた訳ね」 「うん」 「どうしよう、このまましばらくこっちに住む?」 魔美は礼司と住むのが楽しそうだった。 「それでも良いけど、タクシーを向こうの世界に止めっぱなしだ。 行方不明で大騒ぎになるぞ」 「そうか・・・」 「えっ?このタクシーはこっちの世界にあるじゃないですか?」 「私たちが乗っているタクシーは魂と言った方が良いかな」 魔美が答えると栗原が首を傾げた。 「とりあえず、例の方法をやってみるか?」 礼司は魔美と一緒に善念寺の墓の前に行った。 「ここから行くのよ、ここから向こうの世界を強く念じるの」 「わかった」 礼司が墓石を見ると夜野家の墓と書いてあった。 「じゃあ、またな。魔美」 「うん、またね」 二人はハイタッチをすると礼司の姿が消えた。 そして魔美が善念寺の駐車場に戻ると目の前に 止まっていたタクシーが消えていた。 「礼司さん、戻ったのね」 由美が魔美の手を握った。 「うん、またパパに会いたい。パパはこっちに戻れるの?」 「ええ、鬼を退治して三つの世界の バランスが整ったらきっと戻れるわ」 「そうか・・・良かった」 由美は寂しそうな顔をしていた。 「ママ、さっきの夜野礼司さんはパパじゃないわよね」 「ええ、良くわからないわ。パパに様な気がするしそうじゃないような気がするし」 「でも、向こうの夜野礼司さんは血が繋がっていないから他人だよね」 「まあ、そうね。遺伝子は同じだと思うけど」 「じゃあ、危険かな?あの人女好きの特に女子高生好きの中年だから。 「うふふ、その時は本当のパパが抑えてくれるわよ」 「そうか、じゃあ安心だ」 魔美はそう言いながらも心の中で向こうの世界の礼司が好きになっていて 甘えたくなっていた。 1章 眼鬼 終
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